Digital Globe社の衛星写真だが、18日1020時現地時間のものだという。
17日のCH-47による空中散水後で、18日の地上よりの放水開始前の状況と思われるが、3号基から上がっていた白煙(水蒸気?)が消えている。
2号基の建屋側壁の破壊口からは白煙(これも水蒸気か?)が相変わらず継続噴出している。
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Digital Globe Photo
白煙がフュエル・プールからの水蒸気とすれば、3号基のフュエル・プールに水が再度入って蒸発が止まったのか、或いは完全にプールの水が蒸発してしまったのかだろうか。
2号基以外の3基は爆発による破損状態がかなりなものだが、屋上屋根部分が吹き飛んだお陰で、空中からの散水による効果は有効度が高まっていたろうか。
自衛隊・警察・消防の高性能消防車を総動員して地上からも放水しているようだが、建屋が爆発で破壊されているので、内部への放水効果が見込めるのは怪我の功名か。

フュエル・プールにある燃料棒は、検査中で炉内の燃料棒も上げていた4号基が783本と多いようだが、空中散水前のUH-60による偵察で4号基プールには水が残っており、3号基がむしろ緊急性が高いとのことで空中散水目標は3号基とされたようだ。(読売

3号基のプール内燃料棒は514本というが、3号基はMOX燃料棒使用であるから、毒性はこちらのほうが高いだろうか。

燃料棒(燃料集合体と称するようだ)というのは、長さ4mほどの合金製の筒にウラン235などの核燃料ペレットを詰めたもののようだが、使用済みでも勝手にどんどん発熱するようで、長期間建屋内のフュエル・プールに水冷で保管するようだ。
事故でフュエル・プール内の水が蒸発して燃料棒が露出した状態が続けば、外皮のジルカロイ合金は華氏2,200°Fで破損がはじまるという。更に事態が進めば、合金筒が溶解破壊して中身の放射能が”ぶわっ”と放出されることになるようだ。

稼動中であった1,2,3号基の原子炉内にも燃料棒があるわけだが、データ通りとすれば、本数は1号炉400本、2号炉と3号炉は各々548本になる筈。
この原子炉内も冷却水循環が止まっており、破損が進んでいるのだろうが、圧力容器というのは重量500t(1号炉は440t)の鋼製だといい、これを更に格納容器が覆っているので、時間的には建屋が吹き飛んで冷却水の供給も止まり、今や”野晒し”状態のフュエル・プール対処のほうがクリティカルなのだろう。

電源を引いて冷却系を再起動させる計画のようだが、原子炉は6基あり、うち4基は爆発により破損状態が酷い。
全ての原子炉の冷却系を復活させるのはかなり大変な可能性が考えられるだろうし、その間放水による冷却で何とか最悪の事態を防がねばなるまい。
UH-60偵察写真。http://en.rian.ru/photolents/20110318/163073248.html

最悪の事態になれば、福島県浜通り地方は無人の荒野と化し、福島県や隣県の農畜産業は壊滅、放出される放射能は日本各地ばかりか、気流に乗って世界中に拡散し、永く無垢の人々を苦しめることになる可能性があるだろうか。

放水も、冷却系の復活作業も、緊急であるが且つ慎重な、微妙で繊細、そして確実で時に大胆な一つ一つの作業が要求されよう。
ここ暫くは、世界の人々が固唾を呑んで見守る”綱渡り”作業が続くだろうか。

この瞬間も過酷な現場で、自らの身の危険を顧みず、作業に当っておられる方々に全幅の信頼を於いて、楽観はしないが、悲観することなく、成功を信じて、見守らせて戴いている。