文部科学省の、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」()というものを見ると、年間20ミリ・シーベルト未満となる放射線量の計算として、
「児童生徒等の受ける線量を考慮する上で、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。」
としている。

屋内では屋外の40%の放射線量になるものとしているようだが、本当だろうか?

原子炉などの放射性物質からα線でも直接浴びるような状況であれば、壁や屋根など建物による遮断効果が期待できそうだが、何十キロも離れた場所というのは、放射性物質が空気中に微小な埃のような状態で到達しているのだろうから、普通の生活をして出入りしている家屋では屋内と屋外とで、10:4などとそれ程までに違いが出るものだろうか?

3.8マイクロ・シーベルト/時という数字が国の”新しい基準値”として独り歩きし始めてもいるようだが()、もし屋内と屋外の放射線量が同じである場合には、この値では、年間放射線量は33ミリ・シーベルトを超えるものになってしまう。

出入り口は一箇所とし、他のガラス戸や窓等は全て締め切ってテーピングをして密閉性を高め、艦艇でのBCR対処のそれのように一箇所の出入り口も2重構造にして、汚染された着衣を脱ぎシャワーで身体の除染を行ってから屋内に入れるようにでもすれば、屋内放射線量は相当に低減することが可能と思われるが、これでは暖房や調理などで火力を使った場合に一家中毒になってしまいそうだ。

屋内退避とか、屋内では相当に放射線量が減ると思うのは、普通の状態ではあまり現実的なものではなさそうに思える。これから暖かくなるのであるし、まして出入りの激しいであろう小学校などでは。

文部科学省の通達では、福島の子供たちを年間20ミリ・シーベルトを遥かに超えてしまう放射線量下に曝すことになってしまう危険があるのではないのか?

放射線量の基準値は年間1ミリ・シーベルトである。

短期間のうちに福島原発からの放射性物質の漏出が阻止され、汚染された地域の除染も終わると言う確約があるのならば兎も角、巧みに数字を弄って姑息な手法で現状を追認するよりも、児童を徒に放射線に曝さない施策を考えるべきではないのか。

追記;
「学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安」とした「非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年」の根拠は、国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)だとあり、「20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。」との根拠は、原子力安全委員会の示した考え方だという()。
引用の根拠に一貫性は無いようである。

建物というのは、機密性の高いコンクリート製の立派な官邸もあるだろうし、襖と障子の家に住む人や、或いは被災・避難してテント生活の人、車中生活の人も出るだろう。 建物の形態や、出入りの頻度などの生活様式でも大きく条件は変化するだろう。
説明として付すのは良いとしても、一般的な指針として使用される数値算出に一率適用することは疑問だろう。

ICRPでは屋内・屋外といった表記は用いられてはいないようだ。

ICRP Publication 109 Application of the Commission's Recommendations for the Protection of People in Emergency Exposure Situations(

Fukushima Nuclear Power Plant Accident March 21, 2011(