東京電力は、「事故の収束に向けた道筋」という福島原発事故処理の工程表を4月17日に発表していたが、1と月経過したところで見直しを行い、その改訂版を5月17日に発表している。

「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況について

この間に1~3号機の燃料棒が単に部分的損傷でなく、実は溶融し圧力容器やその外側の格納容器もどうも損傷していることが今解ったなどと、間の抜けた最新情報もあったようだが、原子炉の状況等を誤魔化さずにある程度開示できるようになったのは、状況がかなり落ち着いてきたことを示唆しているのだろう。

さすがに再び爆発を引き起こすようなヘマはすまいから、多少の凸凹を踏みながらも今後は徐々に冷却安定・収束に向かうことと思われる。

原子炉の現状はこうで、こうやって安定させ放射能の漏出も止ります、東電は全力を挙げてしっかりと対応しています、皆さん東電を理解し応援して下さい。 と言う情報も良いのだが、国民や特に福島の住民が一番知りたいことは、「いったい何時になったら、以前の普通の生活に戻れるのか?」と言う事だろう。

原子炉から放出される空間放射線量というのは事故発生時に比べれば大分少なくなっているだろうし、今後も放出される放射性物質は暫時低減してゆく筈だから、原発の周辺は兎も角として、多少距離のある福島市や郡山、いわき等の人口密集地での一番の問題は、既に地表面に降下している放射性物質だろう。

場所によっては地表の放射線が相当に強いところもあるようだし、これを放置している限り以前の普通の生活には戻れまい。 学校の校庭や公園、田畑、庭土などの汚染されている表面土を剥いだり、舗装面や建造物を洗浄する等の除染作業が必要になるだろうが、それも地中に攪拌されてしまったり地下水に流れ込んだりしない今のうちに除染作業を始めるのが効果的であり、仕事も楽な筈である。

東電の工程表だが、汚染除去については、「Ⅲ除染・モニタリング」項にはモニタリングの継続実施があるだけで、汚染地域の除染については何もスケジュールは無いようだ。
当面の取組み

東電の原発から撒き散らかされた危険物であるから、原子力事業者として東電は、速やかに汚染除去の措置を講じるのが筋と言うものだろうが、ふた月以上経っても除染計画もその責任意思も見えないようだ。

今回は「異常に巨大な天災地変」によるものであるとして、国が主体となって除染については実施するものかと思えば、こちらも、「学校等の校庭・園庭における空間線量率の低減策について、「まとめて地下に集中的に置く方法」と「上下置換法」の2つの方法が児童生徒等の受ける線量を減らしていく観点から有効であるとして、福島県教育委員会等に事務連絡を行った。」とあるだけ。
原子力被災者への対応に関する当面の取組方針

3月19日迄に堆積したそうだが、原発から撒き散らされた放射性物質は広範囲に渡り、場所によっては相当強い地域もあるようだ。
FukushimaDeposition.jpg

放置しておけば自然と消えるというものではないので、誰かが積極的に汚染除去を行わないと、普通に健康な生活を続けることが難しいと思われるが。

年間20mSvまで云々というICRP勧告の暫定許容値というのも原状回復措置と表裏一体となったものであるから、除染計画を持たずに暫定許容値のみを適用というのも片手落ちな話だろう。

参考:失敗学会第41号「原発避難区域への復帰は可能か?