「高木文部科学相は27日の閣議後の記者会見で、福島県内の学校で子供が1年間に浴びる放射線量について、「今年度は当面、年間1ミリ・シーベルト以下を目指す」と述べた。」(引用記事下記)
と言う。

年間20mSvという暫定許容値については、とくに子供にもこれを適用することには専門家の間にも大きな疑問があり、政府での決定の経緯も明確でなく、安全性の根拠も不明確。
内閣参与で、放射線防護の専門であった小佐古東大教授が抗議の参与辞任をするということまで生じていた。

「緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。

 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。」
(内閣参与の辞任にあたってー小佐古敏荘 4・29より)

福島のお母さん達が到底納得できるものではなかったろう。

少しほっとするニュースだが、本来こうゆう事は暫定許容値を審議する過程でよく議論がされて、決められているべきことだろう。

高木大臣は20ミリ・シーベルト安全説からいきなり1ミリ・シーベルトになったようだが、今年度に1ミリ・シーベルトと言うのは”目指す”ということで、”気持ち”ではあるのだろうけど、現実的な数字なのだろうか。

除染の方法についても文科省の提言している、校庭・園庭の土壌を「まとめて地下に集中的に置く方法」と「上下置換法」は、いずれも放射性物質が其の儘地中に残るので、専門家の間にも議論があるところのようだ。
同じ轍を踏まぬよう、これもよく専門家の意見を聞いて議論のうえ決めるべき事だろう。

「福島は、この儘の形で学校を再開させよう」という政府の意思決定が先にあって、それに合わせる為に「毎時3.8マイクロシーベルト」という数字が上手に算出されたように見え、
「汚染土は移動させない」との政府の意思が先にあって、地中方式のみが提言されているように見えてしまう。

国民の生命・財産を守るという、政府の基本をそれこそ「しっかりと」「粛々と」行うことで政権も支持され維持されるのであるから、あまり姑息な目先の保身術ばかり考えても悪い方向にしか行かないと思うのだが。


◇◇◇記事引用:読売新聞ネット◇
福島の学校、線量年1ミリ・シーベルト以下目標

高木文部科学相は27日の閣議後の記者会見で、福島県内の学校で子供が1年間に浴びる放射線量について、「今年度は当面、年間1ミリ・シーベルト以下を目指す」と述べた。

これまで同省が示していた基準(年間1ミリ・シーベルト~20ミリ・シーベルト)は変えないものの、初めて「1ミリ・シーベルト以下」という目標に言及した。

 また、小中学校の校庭などで通常より高い放射線量が検出され、一部自治体で進めている表土除去費用については、98%までは国費で負担する方針も示した。残り2%は自治体の負担となる。

 同省は「上限20ミリ・シーベルト」を根拠に校庭などで毎時3・8マイクロ・シーベルト以上の場合は、体育や部活動を1時間以内に制限するなどの基準を策定。これについては、保護者などから基準の引き下げを求める声があがっていたこともあり、高木文科相は「20ミリ・シーベルトを目安としつつ、できる限り線量を減らしていく」として、可能な限り低い線量を目指す考えを示した。

(2011年5月27日14時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110527-OYT1T00623.htm
◇◇◇

◇◇◇引用;文部科学省◇
福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について
平成23年5月27日
文部科学省

1.文部科学省では,「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について(通知)」(平成23年4月19日付け23文科ス第134号)を示し,今後できる限り,児童生徒及び幼児,園児(以下,「児童生徒等」という。)の受ける線量を減らしていくことが適切としているとともに,特に,校庭・園庭で毎時3.8マイクロシーベルト以上の空間線量率が計測された学校について学校内外での屋外活動をなるべく制限することが適当である等としているところである。

2.文部科学省においては,暫定的考え方に基づき,多様な放射線モニタリングを実施・強化するととともに, 5月11日に,校庭・園庭の土壌に関して「まとめて地下に集中的に置く方法」と「上下置換法」の2つの線量低減策を教育委員会等に示した。
 また,5月17日に原子力災害対策本部により策定された「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」において,教育への支援の一環として,福島県内の教育施設における土壌等の取扱いについて,早急に対応していく旨,明記された。
 この方針も踏まえ,文部科学省において,今後,暫定的考え方に沿って,学校内において児童生徒等の受ける線量を低減させ,より安心して教育を受けられる環境の構築を目指し,更なる取組を推進する必要がある。

3.このため,文部科学省においては,今後上記1.に示した考え方に立って,当面,以下のとおり対応する。

1.本日,福島県教育委員会の協力の下,福島県内の全ての学校等に対して,積算線量計を配布する。これにより,児童生徒等の受ける実際の積算線量のモニタリングを実施する。

2.暫定的考え方で示した年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って,今年度,学校において児童生徒等が受ける線量について,当面,年間1ミリシーベルト以下を目指す。なお,引き続き児童生徒等の心身の健康・発達等に関する専門家等の意見を伺いながら,更なる取組の可能性について検討する。


3.「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」を踏まえ,更なる安心確保のため,文部科学省または福島県による調査結果に基づき,校庭・園庭における土壌に関して児童生徒等の受ける線量の低減策を講じる設置者に対し,学校施設の災害復旧事業の枠組みで財政的支援を行うこととする。対象は,土壌に関する線量低減策が効果的となる校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校とし,設置者の希望に応じて財政的支援を実施する。

http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1306590.htm
◇◇◇

それにしても、この役人の通達言葉というのは、も少し何とかならんものか。


河北新報によると、「表土除去の補助対象は公私立の全ての幼稚園や小中高校などで、公立はほぼ全額、私立は半額」とあるが、学校には何ら責任の無い環境汚染の現状回復の話であるから、公立校と私立校で差を付けると言うのはおかしなことに思える。
東電、或いは東電と国が折半で、学校に限らず放射能汚染された環境の原状回復に当るのが筋の話と思うが。
それも梅雨や台風などで放射性物質が攪拌されてしまう前の今のうちに、除染作業に取り掛かる必要があるとことと思われる。
事故発生から、もう既に2ヶ月以上経っている。

◇◇◇引用:河北新報◇
福島放射線量 校庭年1ミリシーベルト以下目標 文科省基準

 文部科学省は27日、福島県内の小中学校校庭などの利用制限基準に関し、児童生徒が受ける放射線量の目標について、従来の毎時3.8マイクロシーベルト、年換算20ミリシーベルトから「年間1ミリシーベルト以下を目指す」と変更した。校庭などで毎時1マイクロシーベルト以上の線量が測定された場合、表土を除去する工事の費用を国が補助することも明らかにした。
 文科省によると、表土除去の補助対象は公私立の全ての幼稚園や小中高校などで、公立はほぼ全額、私立は半額。6月から順次、校庭の線量を計測する。
 高木義明文科相は「子どもや保護者に安心感を持ってもらえる措置を取った」と述べた。
 補助するのは、文科省が有効な線量低減策として提示した(1)表土を削り下層の土と入れ替える「上下置換方式」(2)削った表土を袋詰めにして埋める「穴埋め方式」―の二つを想定。自治体が独自の判断で既に実施している工事も対象とする。
 校庭の表土除去をめぐっては、福島県内の自治体から費用負担や基準を示すよう求める要望が相次いでいた。
 文科省はこれまで毎時3.8マイクロシーベルト以下の場合「表土除去は必要ない」としていた。しかし、5月17日に公表された政府の福島第1原発事故対応の工程表に土壌対策への早急な対応が明記されたため、検討を進めていた。


◎「どう実現」「対応遅い」/福島・関係者ら疑問・批判

 児童生徒が受ける放射線量について、文部科学省が27日に示した年間の積算線量1ミリシーベルト以下を目指す考えに対し、福島県の学校関係者らからは「どう実現させるのか」「対応が遅い」などと疑問や批判の声が上がった。
 校庭などの放射線量低減のため、福島市の小中学校などでは表土の除去作業が進められている。27日に作業が始まった渡利小では直前の線量が毎時3.0マイクロシーベルトだった。高橋友憲校長(60)は「既に放射線を浴びており、1ミリシーベルト以下は現実には難しいのではないか。どうやって目標を達成するか、具体的に示してほしい」と国に注文を付ける。
 さらに「国の方針が揺らぐと教育現場は混乱する。以前の年20ミリシーベルトという基準も信用していなかった。今回の目標も疑ってみる必要がある」と不信を募らせている。
 保護者でつくる市民団体「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」の中手聖一代表(50)=福島市渡利=は現在、小学1年と4年の息子2人を岡山県の親戚宅に避難させている。
 「子どもの安心のために一歩踏み出したことは歓迎するが、対応が遅い。通学路や家庭生活での被ばくの説明もない。まだ安心して子どもと一緒に暮らせる状況ではない」と言う。
 一方、佐藤雄平知事は「(1ミリシーベルトを)目標にして取り組んでもらいたい。一定の前進だと思う。文科省も相当努力するということだろう」と一定の評価。県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一長崎大医歯薬学総合研究科長は「被ばく量はできるだけ少ない方がいい。放射線量を下げられる見通しがある程度、立ったということではないか。うれしいニュースだ」と受け止めている。

2011年05月28日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110528t63016.htm
◇◇◇