写真は「DC-2」と飛行する「Boeing Model 40C」だが、モデル40は郵便機ではあるが、操縦席前方の胴体内に2名分の客席を設けてあり、ボーイング社初の”旅客機”となった記念すべき機体である。

この機体は、当時カリフォルニアとオレゴン間の郵便輸送などを行っていた「Pacific Air Transport」という会社に1928年5月17日に完成引き渡され、同年10月2日に霧のためオレゴンの山中に墜落した機体を近年回収し、復元したものだという。

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Photo by Rob Walker. Thanks Rob Great shot.

ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功したのは1903年12月17日のことだそうで、12秒間37mの”飛行”だったと云うが、当初は凧みたいにフワフワと浮くだけの面妖なものが、その後急速に進歩し、特に第一次大戦間には目覚しい技術的進歩を遂げている。

この「飛行器」で郵便物を運ぼうという構想は早くから生じていたようで、1911年には英国に於いて郵便物の定期輸送業務が始まっているという。

米国では、1918年にニューヨークから、フィラデルフィアを経由し、ワシントンDC間のルート開設が、定期航空郵便輸送の最初だという。
ニューヨークと首都ワシントンDC間を、日曜を除く毎日上下一便の航空郵便物輸送である。
時に1918年5月15日11時47分、ウイルソン大統領夫妻をはじめとする政府お歴々の盛大な見送りを受け、新しい歴史の幕を開ける第一便、Boyle陸軍中尉操縦のカーチス式JN-4”Jenny”型機が、颯爽とワシントンDCの空に飛び上ったと云う。

が、離陸から程なくして方位を失ってしまっている。

航法機器なぞ何も無い時代であり、地形や鉄道線路などを目標として把握し、地目航法で飛ぶ時代であり、旋回しているうちに方位が解らなくなって仕舞ったようである。
仕方がないので中尉は着陸して地理を住民に聞こうとしたのだが、着陸時にプロペラを破損してしまい、この記念すべき航空郵便第一号は、18分間25マイルを飛行しただけで終わっている。

何やら多難な出発であるが、早くて便利な航空郵便路はその後急速に開拓が進められたのだが、事故が多かったと云う。

飛行機自体も脆弱で信頼性が低かったが、定期運行には気象が大敵であったようだ。

1921年には不時着したもの1764件で、半分は気象が原因、残り半分は機体故障だといい、パイロット12名が殉職しているという。

この当時9年間で32名が殉職しているといい、これは郵便機パイロット6人に1人の割合になるというから、定期航空郵便輸送業務というのはマサに命懸けの仕事だったようだ。

1920年9月にはニューヨークからサンフランシスコ間の大陸横断航空郵便路が開設されており、1921年2月には夜間飛行による郵便物輸送も導入されたと云う。

当時は第一次大戦中に操縦を習った帰還兵の若者や、余剰となった軍放出の機体などもあり、各地を回って飛行曲技などの興行や遊覧飛行、「より速く、より遠く」への懸賞金の掛かった記録飛行への挑戦など、犠牲や技術的困難を乗り越えて、航空という新しい世界に挑戦する熱意に溢れた時代であったようだ。

「翼よ、あれがパリの灯だ!」
とは実際には言わなかったようであるが、チャールズ・リンドバーグ(Charles Lindbergh)が、33時間半の孤独と睡魔との闘いの末、大西洋単独横断飛行に成功したのは1927年5月20-21日の事だったという。
リンドバーグも郵便輸送機の飛行士であったという。(

太平洋横断飛行は、1931年10月4日に青森県淋代の海岸から飛び立った「Miss Veedol号」によるが、これは二人乗りであった。

太平洋の単独横断飛行は、遥か後の1976年9月6日に川戸正治郎が成し遂げている。
35時間15分の孤独の飛行だったというが、途中北太平洋上空で定期便の旅客機と交信出来た事があったという。
記録飛行への挑戦を知り、「何かヘルプ出来ることはないか?」と聞く機長に、「でわ、スチワーデスに頼んでコヒーを持って来てくれ。」と言ったと、笑いあったことなど想い出す。

「花のスッチー」が登場するのは1930年で、機体は3発複葉機の「Boeing Model 80」が最初というが、最初のフライト・アテンダント8名は、独身の看護婦有資格者が採用されたのだという。
相当な覚悟をして飛行機に乗る時代であったろうか。

1933年にはアルミ金属構造の近代的なBoeing Model 247旅客機が出現し、1934年には同じくダグラスDC-2、1936年には傑作機DC-3が就航している。

参考;
Model 40 Restration back to the sky after 80 yrs. Youtube

The history of the Boeing Model 40. Museum of Flight

US Air Mail History, Wikipedia