FXは来年度予算に概算で4機分を盛り込み、2016年度中にその4機を取得する計画なのだという。

ステルスとネットワーク・システムによる戦域情報把握機能を有する、F-35などの第5世代機は、空中戦闘等これからの航空作戦の様相を根本から変える要素を持つものである。

次期戦闘機計画というものが、機体を取得して習熟し、運用法と、整備・補給などの支援体制を確立して、実戦可能なレベルに達するまで少なくとも数年は要し、必要な機数を取得して所要の作戦部隊編制が完結するのには十年単位の時間が普通かかるものという長期的スパンを考えれば、第5世代機であるF-35を選定することに異論はないであろう。

他の国のように戦闘機を早期に退役させて第三国に売却するような事は、日本には武器輸出規制があるので出来ないし、国有財産台帳に載った以上、所定の耐用年数まで使用せねばならないこととなる。
現代の戦闘機の耐用時間は、いずれも8,000時間ほどはあるから、いったん導入すれば、その機種の運用・教育訓練・支援体制を整備・維持して、40年ほどは使用せねばならないこととなる。
第5世代機の取得は次の機会とし、今回は取り敢えず別の機体を”つなぎ”として少数導入するなどは、合理的な話ではないことになる。

米国でのF-35の開発は遅れており、航空自衛隊が採用する空軍型F-35Aも、戦闘機として作戦投入が可能であるIOC取得は、計画では2016年であるが、現実的には2018年になるものと考えられる。

現在、先行少数量産(Low rate initial production -LRIP)が毎年発注されているが、これはFY2013発注分のLRIP-7LRIP8まで継続され、その後本格的量産に入る計画という。

毎年のLRIP調達予算は軍の要求機数が削られているので、ロッキード・マーチンの生産ラインには余力があるだろうから、日本が発注すれば、LRIP型のF-35Aを2016年度中に引き渡すことも可能であろう。

問題は、LRIP型というのは、機体構造部位やプログラムソフトが要求仕様を満たしていないものであり、事実上作戦能力は無く、実用機とするには改修の必要のある機体ということである。

初期少数生産であるから、調達価格も高いものになる。
FY2011の空軍F-35A調達は、23機で3,934,142千ドルというから、1機あたりの調達価格は$171M(135億円程度になるだろうか)。(
日本が購入する場合には、開発費の割り掛け負担分も相当な額が加算されるだろう。

是が非でも2016年度中に機体を取得したい、と言う事だと、LRIP型の、作戦能力に欠け、後日改修やアップデートの必要な、未完の機体を、それも高額な調達価格で取得することになってしまうだろう。

2016年度中にFX機を取得する必要性というのは、現在のF-4EJ改が減耗するのでということだが、この”F-4ファントム”により編制された戦闘飛行隊というのは、空自の12個ある戦闘飛行隊中2個隊である(F-15X7Sq、F-2X3Sq、F-4X2Sq)。
F-4ファントムは70年代の戦闘機であり、米空軍からは退役して久しく、現在は民間団体の所有する”民間機F-4”がエアショーなどで飛行しているくらいで、あとは博物館に展示されている戦闘機である。

航空自衛隊では、F-4を67機ほど所有(防衛白書)とあるが、現在は領空侵犯対処のスクランブルなどには就いていないとの話を聞く。
防衛省という役所であるから、国有財産を勝手に用途廃止には出来ず、決められた飛行耐用時間までは所有して飛行させる必要があるようだが、いくらレーダ等を換装してあるとは言え、実質的に航空戦力とは言い難い機体だろう。

F-4ファントムの2個戦闘飛行隊が仮に今日解散し、F-4ファントムが全機退役したとしても、十分な数のF-15やF-2による戦闘飛行隊が存在するので、日本の防空戦力に穴が空くということは考えられまい。

急速に軍拡を続ける中国の軍事的脅威は確実に年々増大して来てはいるが、中国が本格的な近代的航空戦力を整備するまでにはまだ時間がかかる。
一時的に空自の戦闘飛行隊数や所有戦闘機総数が減少するようなことが生じたとしても、今であれば、それが中国に尖閣諸島などでの軍事力の行使を誘発することにはならないであろう。

防衛当局も財務当局も、既存の飛行隊数に拘らず、少し柔軟に考えるべきだろう。

次期戦闘機のF-35Aは、米空軍で作戦能力の証明を終えたIOC取得後の2018年以降に、機体やプログラムソフトのアップデートされた量産型を調達取得の対象とするのが望ましい。

◇航空自衛隊の所有戦闘機数(2011年3月31日現、防衛白書)

F-15J/DJ 202機
F-2A/B   93機(津波で何機かやられたろうか)
F-4EJ   67機(他にRF-4E/EJ偵察機が13機ある)

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中国人民解放軍空軍J-20 機体下面にウェポン・ベイを設けた中国初のステルス戦闘機。 実戦配備は2017~2019年頃と見られている。 米当局の予想よりも出現は早かったが、第5世代戦闘機としての能力のほどは未知数である。