イランは2月にまたホルムズ海峡周辺で海軍演習を行うそうだが、年末年始に繰り広げた海軍演習で出てきたのは、アメリカは当然として、欧州もまた制裁強化の方向を示唆するものだったから、”効果不十分”として、もっ一回危機感を煽ろうというところだろうか。()(

ひとり中国のみは、「制裁と圧力は、イラン核問題を根本的に解決できない。対話と交渉こそが正しい道だ」と、聖人君子みたいなことを言ってイランに理解のあるところを示している。(

イランは世界有数の産油国だが、原油輸出先の主な国というのは、中国、インド、日本、韓国といったところになるだろうか 中国20%、日本17%、インド16%、イタリー10%、韓国9%、その他28%になるという(2010年統計WSJ)。
中国のイラン原油輸入は、2011年11月時点で前年比約30%増加しているといい、イランは中国にとってサウジ、アンゴラに次いで三番目の原油輸入国となっているという(WSJ)。

日本は欧米のイラン制裁発動の狭間にあって対応に苦慮しているのだという。(

日本の原油輸入先というのは、サウジアラビアが33%、UAEが23%、カタールが10%、イランが8.8%、クエートが6.5%、その他となるそうで、これは2011年の11月迄の統計だそうだが、合計11億9千万バレルの輸入だという(WSJによる)。
12月は原油輸入量が多いとしても、経済活動も低迷しているのだろうし、年間で13億~13.5億バレルといったところになるだろうか。

イランからの輸入だけでもほぼ1割だが、ホルムズ海峡が閉鎖され、周辺海域が戦争状態になると日本の原油輸入の大半(6~7割?)はストップするだろうか。

海上保険は戦争は免責であるから、戦争状態になった場合には別途船舶戦争保険なりの付保を必要とするが、航行船舶に実被害が発生すれば、保険料は天井知らずだろうし、船会社も運行を躊躇するだろう。
ペルシャ湾やオマーン湾ばかりでなく、アラビヤ海域も戦争状態になった場合には、日本の原油輸入の9割を占めるという中東からの原油輸入のほぼ全てが一時的に途絶する可能性も最悪の場合起り得るわけか。

イランはウラン濃縮を継続しているようだが、濃縮率20%というのは平和利用の核燃料としては極めて濃縮率が高い。(引用記事下記)
普通は原子力発電用の核燃料は精々3%程度の濃縮率のようであり、20%のウラン濃縮技術を持てば、核兵器用濃縮技術を持ったということになるという。

民生用としてこのような高濃縮核燃料が必要とは思えないし、核兵器開発の疑惑を招き、エネルギー資源の集中する中東に不要な不安定要因を作るのは、世界にとってマイナスでしかあるまい。

日本は世界で唯一の被爆国として「核」には敏感であり、核兵器絶滅を唱える民間団体も多数存在したと思ったが、イランの核開発についてはどうなのだろうか。
一貫して毅然とした姿勢というのは、なかなか難しいというところか。

イランが折れるような兆しは今のところ無いし、欧米世界がイランの”火遊び”を容認することも無いようであり、原油取引相場は上がる一方になるようだが、原油価格上昇だけなら未だしも、油だけにいったん火が着くと大変なことになるだろうが、これは一体どこまで行くのだろうか。


◇◇◇引用;読売新聞

イラン、濃縮ウラン増産…核兵器開発加速か

【ローマ=末続哲也】AP通信などは9日、イランが中部コム近郊フォルドゥに建設したウラン濃縮の地下施設で、濃縮度20%のウランの生産作業を開始したと伝えた。
 国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)が先週行った現地調査に基づき、複数の外交筋が明らかにしたという。
 イランは先に同施設に新型の遠心分離器を導入し、濃縮ウランの生産能力を3倍に増強する方針を示しており、イランの核兵器開発が加速するとの懸念が強まるのは必至だ。イラン産原油輸入の停止・削減による制裁に乗り出した欧米などとの対立が深まりそうだ。
 AP通信によると、同施設では遠心分離器348台が稼働し始め、同規模の生産施設の組み立て作業も完了間近という。濃縮度20%のウランから兵器級の90%以上の高濃縮ウランを生産するのは容易とされる。同施設は中部ナタンツの施設よりも地下深くにあるとされ、イスラエルなどからの攻撃に備える狙いがある。

(2012年1月10日01時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120110-OYT1T00057.htm

◇◇◇引用;朝日新聞

イラン「核開発続ける」 IAEAが施設の稼働確認

イランの最高指導者ハメネイ師は9日、「帝国主義者ども(欧米)はイラン政府と国民を制裁で脅しているが、我々は決めた道を歩み続ける」と述べ、核開発の放棄を拒否する姿勢を改めて示した。国営テレビが伝えた。
 ハメネイ師は「すべての政府機関が断固としてこの原則を守り、脅しに屈することはない」と強調した。米国が制裁のレベルを引き上げ、欧州連合(EU)も追随の動きを見せるのに対し、イランは原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖を示唆している。
 一方、ロイター通信によると、国際原子力機関(IAEA)は9日、イラン中部コム近郊のフォルドゥに建設された地下式ウラン濃縮施設が稼働したことを確認した。IAEAの監視下で濃縮度20%のウランが製造されている。
 20%ウランの必要性について、イランは「民生用のテヘラン研究炉の核燃料を作るため」としているが、米国などは「核兵器製造を意図したもの」と疑っている。(テヘラン=北川学)

http://www.asahi.com/international/update/0110/TKY201201100065.html
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宇宙から見たホルムズ海峡 NASA Photo