”よく知っているところなので、目視で航行していた”との件の船長の話が新聞(WSJ)にあったが、
事故の詳細については今後の捜査で詳らかにされるのだろうが、要は、船位について精測し把握することをせずに、”目の子距離”で島に接近航行した結果、岩礁に接触させたものなのだろう。

船というのは大型船になればなるほど舵の利きが遅くなるといい、海洋・気象というのも全く同じということは無く、日々刻々と変化するものだと言う。

陸地の近くでは海流も海底地形も複雑に変化するだろうし危険が伴うので、接近航行中は測距儀を持たせた乗員をウイングに出して距離を読み上げさせたりしているものだが、最近の新鋭船であれば、GPSなどによる精密測定データをリアルタイムで航法機器にディスプレイ出来るようになっているであろう。

どんなに精密な航法機器が搭載されていようと、肝心な時にそれを活用しようとせず、自分の目の子のほうが確実と信じる奇矯な船長にあっては、宝も腐ってしまうと言う事か。

避難の発令が遅く(事故発生から1時間後だという)、浸水による船体の傾斜が既に激しかったので、救命ボートの御下や乗客などの退船に支障があったといい、事実御下出来なかったボートなどが写真から見て取れる。

新聞によれば、同船は一区画だけの浸水では沈む事はないというが、今回は数十メートルに亘り船腹が亀裂しており(70~90m位?)、少なくとも3区画の浸水となり、沈没は避けられらないということのようだ。
浸水による船体傾斜に対しては、反対舷区画への注水により傾斜を戻すことが可能だという。

同船は島側にUターンして最期は座礁して終ったようだが、舵が効くということは相応の速力があったということで、船の速力は浸水をさらに進めるだろうし、急激な転舵をすれば船内に浸水している大量の海水が動くだろうから、下手をすれば転覆の危険もあるように思うが。

損傷による船内区画への浸水状況や沈没の危険というのは、即座に把握出来ることであるから、先ずは停船させて、必要に応じ反対舷への注水などを行い乍ら時間を稼いで、少なくとも乗客は全員避難退船させるというのが、普通の判断ではないのだろうか。

奇矯な船長の判断もこれから検証されることだろうが、最初に船長から報告を受けたと言うコスタ・クルーズ社の運行責任者はどのようなアドバイスを与えたのかも重要な点になるだろうか。

クルーズ船に乗った場合、先ず最初にやるのが、”Boat Drill”とか ”Evacuation Drill”とか呼ばれる避難退船訓練だが、IMO・SOLASや米国の法律では乗船後24時間以内に実施することとなっているといい、北米起点のクルーズでは乗客の乗船が終了したら直ちに行うので、船が未だ岸壁を離れないうちから、”船沈みま~す”の訓練ということになる。

コスタ・クルーズ社のこの船の場合、避難訓練は出港の翌日に予定されていたのだという。

避難訓練未了の状態で事故を迎えたことが、乗客の混乱に拍車をかけたことは想像に難くないであろう。

浮かんでいるものは、岸壁にあろうが何処であろうが、沈む可能性は常にあるわけで、趣旨からすれば、乗客のボート・ドリルはやはり乗船後真っ先に行うべきところだろう。

奇矯な船長ばかりでなく、コスタ・クルーズ社の姿勢にも些か問題はあるように思える。(

a026e67c.jpg


「同じ航海も初航海」
船乗りの言葉で、
「カームに衝突、月夜に座礁」
ともいう。

「腕よりも経験よりも先ず見張り」

「もう一歩前へ、奉げ銃、帽振れ~」
これはトイレでのマナー。