日曜に空母エブラハム・リンカーン機動部隊がホルムズ海峡を通狭してペルシャ湾に入ったという。(

国際海峡であるから、空母であろうが何であろうが通峡したところで問題はないわけだが、イランは海峡の封鎖を示唆したり、米空母のペルシャ湾への進入に対して威圧していたところなので、艦隊の乗員一同の緊張は高かったろうか。

ホルムズ海峡は狭水道であるが、ペルシャ湾も広くは無いので、空母戦闘群は防御の縦深が十分に確保出来ない場合も生じ、イランの陸地からのSSM、ミサイル艇、潜水艇などによる同時集中奇襲攻撃を受けた場合は、空母や護衛艦艇が被弾してしまうことも図上演習などではあると言われる。

イランが奇襲飽和攻撃によって、”米空母撃沈”の大戦果を挙げ得る可能性はあるだろうが、流石に米海軍もペルシャ湾に入れる空母は1隻だけだろうし、その後は壊滅的な反撃を受けることは容易に想像されるから、イランが突如攻撃したり、ホルムズ海峡を軍事力で封鎖したりということは常識的には無い筈だが。

常識外の事態が生じ、一日に17ミリオン・バレルの原油が通るというホルムズ海峡や周辺のアラビア海域が長期間戦闘状態になれば、原油の中東依存度が8割という日本などは干上がってしまいそうだ。

”油断”は大敵か。

今回ホルムズ海峡を通ってペルシャ湾に入った空母リンカーン機動部隊は、空母のほかに巡洋艦USS Cape St. George CG71と2隻の米駆逐艦、それに英海軍のHMS Argyllとフランスの1艦が艦隊に加わっているという。

国際艦隊のプレゼンスは、国際海峡であるホルムズ海峡や、ペルシャ湾をはじめとする「海洋の自由航行を護る」という意思表示であろう。

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アラビア海に於いて洋上補給を受けるUSS Abraham Lincoln。
USS Cape St. Georgeからの撮影で、補給艦はUSNS Guadalupe。セント・ジョージも近接運動中で、同艦から給油を受ける態勢である。

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アラビア海をゆく、もう1隻の空母Carl Vinson CVN70。
ペルシャ湾のバーレーンに司令部を置く米第5艦隊には現在2隻の空母部隊が配置されていることになる。
2枚の写真はいずれも1月21日撮影だという。US NAVY Photos.

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今回リンカーン空母艦隊に加わっているという。英海軍のHMS Argyll
Royal NAVY Photo.

EUも対イラン経済制裁を実行する手筈のようである。(EU、イラン原油禁輸7月より完全実施
圧力と対話で、イランが折れて核開発問題が解決の方向に向かうようになるのか、あるいはイランが”切れる”ような事態に発展するのか。