大飯原発の再稼動問題のニュース(下記引用)だが。

今回の福島第一原発の事故で明らかになった最も重要なことというのは、現行の「原子力安全・保安院」や、原子力ナントカ委員会といった組織体制では、原子力発電の安全は確保出来ない、という事実であろう。

日本の政府も解っているのであろう、本来はこの4月から「原子力規制庁」?とかの新たな組織を発足させ、新しい体制に移行する筈だったようだが、色々あるのか遅れているようである。

現行の「原子力安全・保安院」というのは、経済産業省の一機関であるといい、原子力発電の安全性を規制・監督するこのような組織にとって重要な、「独立性」というものは無いのだろう。

米国には、原子力発電や放射性物質等の民間での使用の規定をなし、その許認可をし、安全を監督して、放射能被害の発生から国民を守る機関として、NRC( U.S. Nuclear Regulatory Commission )と言う大統領直属の連邦機関がある。

期待される機能としては、発足予定の「原子力規制庁?」や現行の「原子力安全・保安院」というのは、NRCに匹敵するものであろう。

NRCというのは、要員4千人、年間予算$1,038M(FY12。FY11は$1,053.6M)なのだという。

なかなか大きな組織だが、それでも原子力の安全性確保には懸念があるようである。
神ならぬ人間のやることであるから100%ということは無いにしろ、”まあこれなら安心”のレベルには随分と金のかかることである。
原子力発電は安いが、安全な原子力発電というのは決して安価なものではない、ということであろう。

日本の現行の「原子力安全・保安院」は、定員803名(本院443名、監督部等360名)、年間予算376億円という。(Wiki)

原子炉の数が日本は米国の半分としても、検査員など炉数に比例する部分もあるだろうが、安全規定業務の基本的部分については同じであろうから、随分と規模が違うものである。

新しく発足するという「原子力規制庁?」なるものがどの程度の規模なのか知らないが、いきなり要員3千人、年間予算1千億円とはならないであろう。

WSJ紙(3/26)では、この新しい日本の原子力規制機関は、要員480人、年間予算505億円と日本政府は見込んでいるものと報じている。

要員というのも恐らくは”横滑り”なのだろうし、原子力の安全施策が抜本的に改革されると期待するのは難しいところだろうか。

原子力発電というのは、基本原理は単純だが、実際の装置は巨大複雑なものであり、核は重大事故が発生すると被害が極めて広範囲・長期に及ぶので、原発自体の機械装置としての安全性ば言うに及ばず、自然災害や人為的な破壊行為からの安全確保も保障されている必要がある。
物事に100%ということは無いので、原発事故発生の場合の住民の避難等の安全確保対策もまた準備されている必要がある。

WSJ紙によれば、日本で原発から20マイル内に居住する人間は710万人にもなるという。
人口密度の高い日本では住民対策は殊更に大変だろう。
とかく、起こりえる事故に対策を立てるのでなく、出来るところの対策に発生事故の想定のほうを合わせてしまいがちなところも出るだろうかw

大飯原発の再開問題であるが、一日だけ試験・研究で運転するとでも言うのであれば兎も角として、原発の運転を継続するのであれば、安全の確保・監督を責任を持って担当することが出来る機関を確立し、日々安全の度合いを更に高める不断の努力が必須なわけだろうが、安全を破綻させた今までと同じ体制で、どのようにして安全が確保され得ると考えるものなのだろうか。

参考

NRC

原子力安全・保安院ホームページ

原子力安全・保安院:Wiki

原子力規制庁:Wiki

国会事故調でのNRC元委員長の参考供述 2/27/2012


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◇◇◇読売新聞

大飯原発再稼働へ新安全基準、政府が最終決定

野田首相は6日夕、原子力発電所の再稼働を巡る関係閣僚会合を開き、原発の安全性を確認する新たな判断基準を最終決定した。

 経済産業省は関西電力に、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全性向上計画(工程表)の策定を指示した。関電は来週前半にも提出する。閣僚会合は同原発の再稼働を妥当と判断する見通しで、来週中にも枝野経産相が福井県を訪れて再稼働容認を要請する。

 新たな判断基準は、原発の再稼働の条件となる〈1〉深刻な事故を防ぐための緊急対策〈2〉ストレステスト(耐性検査)の確認――と、中長期的な安全向上策の2段階の構成となっている。

 緊急対策は、福島第一原発の事故後に国が指示したもので、地震・津波による全電源喪失や炉心損傷を防ぐため▽電源設備▽冷却・注水▽格納容器破損▽管理・計装設備――の4項目に万全を期すよう求めている。

(2012年4月6日22時56分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120406-OYT1T00980.htm
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