放射線というのは、遮蔽が難しく、生体の中を突き抜けてゆくものなので、様々な障害を生じさせる可能性があるものだという。

「福島原発の近くに行って深呼吸したら、なんだか却って元気が出てきた!」と言う人もなかにはいるだろうが、放射線の人体への影響については因果関係が未だよく解らないところも多いようで、個人差もあるだろうから、放射線が好きな人は福島原発に行けばよいとして、とくに幼少者や妊婦などは、不要な放射線被曝は極力避けるようにすることが重要とされている。

原子力発電所に限らず、何ごとでも事故発生の確率というのは「ゼロ」にはならないものであるから、極力事故発生の確立を下げる設計や、運用方法も含めた不断の改善・安全性向上の努力と、事故が起きても重大事態に進展しないような被害局限化がされた構造、そして万一事故が生じた場合の避難救命措置を講じておく、というアプローチになる。

原子力というものが、自動車や飛行機、化学プラントや一般工場施設と異なるのは、万一事故が発生した場合の放射性物質漏出による放射能被害というのが、極めて広範囲・長期間に及ぶものであることだろう。

「核」というのは、いったん暴走を始めたが最期、手の付けられない事態になってしまう可能性があり、放射能汚染された地域は永く人間の住めないところと化してしまう惧れが、今回の福島ではないが現実にある。

米国には100基、日本には50基余りの原子力発電所があるというが、日本の国土面積はアラスカの1/4.5、テキサス州の半分強であり、カリフォルニア一州にも満たない広さの島国である。
人口密度も高いので、万一の場合多数の住民を整然・迅速に、時間単位のうちに退避させることも容易ではあるまい。
複数の原発で事故が発生した場合には、避難先すら確保が難しいかも知れない。

米国や中国、ロシアといった広大な国土を持つ大陸国なら兎も角、人が互いに肩寄せ合って暮らすような島国に、50基以上もの原子力発電所を作ってきたというのは、やはり異常なことであろう。

国民の安全を蔑ろにし、一部の人間が利権を求めて走った結果の姿というべきか。

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☆http://watasumu.blog28.fc2.com/blog-entry-231.html


◆◆◆記事引用;

チョウの羽や目に異常=被ばくで遺伝子に傷か―琉球大

時事通信 8月10日(金)21時29分配信

 東京電力福島第1原発事故の影響により、福島県などで最も一般的なチョウの一種「ヤマトシジミ」の羽や目に異常が生じているとの報告を、大瀧丈二琉球大准教授らの研究チームが10日までにまとめ、英科学誌に発表した。放射性物質の影響で遺伝子に傷ができたことが原因で、次世代にも引き継がれているとみられるという。
 大瀧准教授は「影響の受けやすさは種により異なるため、他の動物も調べる必要がある。人間はチョウとは全く別で、ずっと強いはずだ」と話した。
 研究チームは事故直後の昨年5月、福島県などの7市町でヤマトシジミの成虫121匹を採集。12%は、羽が小さかったり目が陥没していたりした。これらのチョウ同士を交配した2世代目の異常率は18%に上昇し、成虫になる前に死ぬ例も目立った。さらに異常があったチョウのみを選んで健康なチョウと交配し3世代目を誕生させたところ、34%に同様の異常がみられた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120810-00000172-jij-soci
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☆ The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly