3月7日付けでNTSBが、去る1月7日にボストン空港で発生したJAL787機のバッテリー火災の「発生事実中間報告(Interim Factual Report)」を発表している。

Interim Factual Report」 -NATIONAL TRANSPORTATION SAFETY BOARDーMarch 7, 2013

この事案に関係する関連報告書の類もNTSBサイトで閲覧できるので、私のような”その他大勢”の人間も「何が起きたのか?」を詳しく知ることが出来るのは有難い。

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まあ787で仕事をしているわけではないので、「何が起きたのか?」の仔細を知ったところであまり意味はなく、「何故起きたのか?」が解明されて対策が立てられ、「もう安全に乗れるのか?」のほうが早く知りたいわけだが。

中間報告書にある通りその道の専門家が鋭意解明努力をしているところだが、発火に至った原因究明のほうはやはり時間がかかりそうである。

しかしなあ、ボーイングのリスク評価では発火に至るようなバッテリーのCell Ventingの発生は1千万飛行時間に1回発生の確率とされ、その安全対策も施されて、タレスやGSユアサで実地試験もされて、”完全に大丈夫”ということで、FAAもそれを審査・評価のうえ”安全”の合格お墨付きを出したわけなのだが。

1月7日のボストン空港でのJAL787のバッテリー発火に続いて、1月16日には飛行中のANA787でバッテリーから発煙し、高松空港に緊急着陸している。
1月16日時点での787フリート全体での合計飛行時間は52,000時間弱だったという。

「おいおい、じぇんじぇん違うぢゃない」
と言う事になるわけだが。

”発生事実は事前評価より奇なり”だが、787はリチウム・イオン・バッテリーばかりでなく色々な新しい技術を採用している機体なわけで、問題は、バッテリー事案と同じような事が他の部位にも潜在している可能性を否定は出来ないことであろう。

FAAが設計の段階に遡って再審査を実施している所以だろうが、787というのは、空の旅に新しい次元の快適性を齎し、運航に当たっては刮目すべき経済性を齎す”新次元の傑作機”なのか?、あるいは、”稀に見る駄作機”なのか?難しいところになってきたろうか。(苦笑)

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NTSB中間報告書より。