ボストン・マラソンのゴール付近で行なわれた爆弾テロだが、圧力調理器を使った爆弾にはボールベアリングや釘のような金属が仕込まれていたといい、飛散する金属片により、周囲の人間に最大限の殺傷効果が出るよう作られたもののようである。

2発目の爆弾は少し離れた場所で若干の時間差をおいて炸裂させているが、最初の爆発で民衆が避難移動し混雑した時を狙ったものであり、これも最大限の人的殺傷効果の発揮を謀ったものであろう。

バックパックに入れて携行する程度の自家製の爆薬であろうから、爆発の爆圧だけであればそれほど大きな殺傷効果はないだろうが、仕込まれた金属片によりかなりの人が下肢などに大怪我をしたようである。

手榴弾や対人地雷、大口径砲の榴弾なども、火薬爆発そのものより飛散する破片(弾片)による殺傷効果こそが大きいわけだが、犯人は人的殺傷効果を最大限に発揮できる爆弾の製造法や使用方法を何処かで誰かに習ったものであろう。

今回の爆弾テロによる死者は8歳の子供と若い女性2人、それに犯人が逃走中にMIT(マサチューセッツ工科大学)の警官を射殺しているが、爆弾による負傷者は264名に達するというから、現場はかなり凄惨な修羅場だったろうか。(参照Wiki

First Aid(応急手当)の講習など受けて手当ての方法を知っている者は、本職のEMS救急隊員が駆けつける迄極力応急手当を施すことになるが、救急用品などその場には無いだろうから、応急の止血には自分の着ているシャツなどを使って、被救護者の傷口を圧するようだろうか。
縛る必要がある場合はズボンのバンドや、靴紐・靴下でも使うようか。

米国赤十字によるFirst Aidの講習というのは、過去に何回か仕方なく受けてはいるのだが、習った事は翌日には粗方忘れてしまうし、もうかなり以前のことである。
今の時代、テロや事故、事件に遭遇する可能性は何時でもあるわけだが、もし居合わせたとしても、どうも役に立ちそうにない。

運悪く突発非常事態に居合わせる事があったら、先ず自身の安全を確認したあとは、応急手当など出来なくても、障害物を除去してEMS救急隊が活動し易くする等、物運びでも水汲みでも何でもよいから手伝えというところだろうか。




自分にも被救護者にも幸いなことに、イイ加減な応急手当のテクニックは使うチャンスも無く過ごして来ているわけだが、過去に一度だけ”近い”ことはあった。

レストランで食事をしていた時に、他のテーブルがざわめき、見ると年配の婦人が食物を喉に詰まらせたようで、喉をおさえながら椅子から床に崩れ落ちるのが見えた。

日本でも老人が餅などを詰まらせて亡くなるニュースはよく聞くが、人間気道を詰まらせて呼吸が出来なくなれば死んでしまうのだから、応急は寸刻を争うわけで、即座に席を立って助けなければならないことだが、恥ずかしいことであるが、”躊躇”が先に立った。(だれかいないのかよぅお~)。

「わたしが応急手当出来るから!」
即座に駆けつけたのは、若いウェートレスであった。背の高い綺麗な女(ひと)であった。

喉に食物などを詰まらせた場合は、被救護者の後ろから抱きつくような形で、ヘソの上の胃部位に握った両手で圧迫を加えて詰物を吐出させるのだが、内臓を損傷する可能性があるという。
もちろん呼吸の確保が先であり、内臓の心配など後ですればよいわけだが。

見ると幸いにも、件の年配の婦人は自分で詰りから蘇生できたようであった。

誰かが911(米国では警察も救急も消防も911)をコールしたのだろう、ほどなくしてEMS救急隊員も入って来、件の婦人を診たが、もう異常はないようであった。

驚きとざわめきも鎮まり、テーブルも元の食事に戻ったのだが、ワインが少し苦かった記憶がある。