なんだカンだ言っても、夏はやっぱビールだね。

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海辺の空き地でやっていた「ファーマーズ・マーケット」とゆうのを冷やかし見物に行った。

近郷の農家が作物をトラックに積んで売りに来ており、日よけテントの小さな出店が空き地に並ぶ。

見ると、トマトや玉葱、果物など農産物は色はまあ良いとして、粒は小さ目であり大きさも不揃いである。

大手のスーパーなどでは専門のバイヤーが全米から買い付けてくるわけで、やはりスーパーのほうがサイズも揃い、値段もやはり安いようだ。

いかにも百姓然としたヒーハぅ~なおっさんの出店はスルーにして、心身ともに健全な大和オノコとしては、やはり若い娘さんの元気いい声が掛るテントに吸い込まれる。

売り娘をからかって歩いているうちに、ニンジンとかトマトとか玉葱とか、小袋を何時の間にやら両手に提げていることになる。

用途は買った後で考えるのはよいとして、玉葱なぞどうやって喰ったものか?と売り娘に聞いてみると、「スライスして其の侭生で喰え」と言う。

何~だか、からかわれているような気もしたのだが、晩酌の酒の肴にサケ缶の上にスライス玉葱を乗せてみるとこれが案外いける。
”野菜のあまさ”というのか、”ワラワラ・スイート・オニオン”と言うだけあって、玉葱があまい。

貨車にゆられて長旅をし、冷房の効いた倉庫に積まれトラックで旅をして店頭に並ぶスーパーの特売の野菜しか口に入れたことのない身としては、野菜がこんなにもあまいものだというのは新鮮な驚きであった。

埠頭には、自家製のビールを飲ませる小さな店があった。
「Scuttlebutt」とか言う、なかなか渋みの効いた個性の強いビールであった。

名の通った大手メーカーのも勿論旨いが、スーパーの棚に並ぶこともない小さなビール屋のも特色があってこれはこれで旨い。

要は、呑めれば何でもよいわけだが。

ちなみに「Scuttlebutt」と言うのは、昔の帆船時代に甲板に置いてあった上部に口を開けた水を入れた樽のことだという。 これで水夫たちが仕事の合間に喉の渇きを潤したというわけである。

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LadyWashington
Lady Washington

「Scuttlebutt」には噂やゴシップのいわゆる「与太話」の意味があるが、この水樽が語源となっている。

帆船時代には水樽の周りは自然と水夫たちの休憩場となっており、逞しく日焼けした腕に錨の刺青の見事な髭のマドロスが、あそこの港の酒場でどうしたの、どこの港のオンナとどうしたのと「あんときゃ~もぅスゴかった!」の若い水夫たちが目を丸くし思わず喉を鳴らすような与太話を聞かせるのが常であった。