5月24日の異常接近事案に続いて、6月11日にも又中国軍機が空自のYS-11EBと海自のOP-3Cに異常接近してきたという。

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中国軍機による自衛隊機への接近について
平成26年6月11日
防衛省

 6月11日(水)午前11時頃から12時頃にかけて、東シナ海の公海上空において、航空自衛隊のYS-11EB及び海上自衛隊のOP-3Cが、中国軍の戦闘機Su-27×2機による異常な接近を受けるという事案が発生した。

 なお、領空侵犯は発生しておらず、自衛隊機及び隊員への被害はない。

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2014/06/11c.html
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公海上の空域であるからどこの国の航空機であれ、自由に飛行するのはよいとして、相手航空機に危険を感じさせるような行為は「ご法度」というもの。

防衛省によれば、それぞれ30メーター、45メーターといった至近距離に接近してきたというから、一瞬のちょっとしたことで機体同士が空中接触しかねず、大事故に至る危険性がある。

中国には「前科」がある。

2001年に海南島沖の南支那海上空で、嘉手納から発進した米海軍VQ-1のEP-3Eに中国軍J-8戦闘機が異常接近して空中接触し、J-8は墜落しパイロットは行方不明で死亡と認定。
損傷を受け、墜落寸前に陥ったEP-3Eは、何とか機体姿勢をリカバリーして、海南島の飛行場に緊急着陸するという事件があった。(Hainan Island incident-Wiki

死亡した中国軍機パイロットは、少佐で人民解放軍海軍J-8戦闘機隊の中隊長だったというが、以前にも米軍機に異常接近して、メールアドを書いた紙を見せるなどしていたことが米国国防省に公表され、その行為は愚かしく、パイロットとしての資質・行動には疑問符が付くわけだが、中国では米軍機が急激な機動でJ-8にぶつかってきたものとし、殉職の飛行員は「革命烈士」の称号を贈られ、「海空勇士」「一級英雄模範」の、祖国の空を犠牲的行為で守った英雄扱いとなっている。(王偉 (飛行員)-Wiki

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VQ-1はこの近くの、NAS Whidbey Is.の航空隊だが、パイロットによれば事故時同機はオートパイロットで飛行していたという。
EP-3Eの機体はその後暫らくして返還されているが、飛行記録のFDRは中国当局が没収したまま返還されていない。

このEP-3という機体は電子戦情報収集機で、高度の電子器材を塔載しており機密性が高く、基地のオープンハウスでも機体が一般に公開されたことはなかった。
 中国にとっては非常に興味深い機材であり、機密保持のため乗員により一部破壊されたとはいえ、これを一時的に入手し解析できたことは、戦闘機飛行員一人の命と引替えて、十分おつりがくると思ったことであろう。

前回5月24日の異常接近事案についても、中国国防部は、
日本の自衛隊機2機が中国への報告も無しに中国のADIZに侵入して中国の安全を脅かし、演習中の中露海軍に妨害を為したもの。 これは近年の日本による挑発行為の一例に過ぎず、何故に日本はこのような挑発行為を続け悪戯に地域の緊張を高めるのか、その背後には何があるのか?日本は一体何をしたいのか?日本は国際社会に明確に説明せねばならない。
としている。(中華人共和国国防部記者会見

いつの間にか東支那海の公海上の空は、中国が管理する空域だと主張している。 中国の許可なく侵入を許さず!?

「厚顔無恥」、「傍若無人」というのも中国辺りが発祥の言葉だろうか。

SU27UBK (400x285)
今回撮影された機体。
複座であり、防衛省発表にある「Su-27」系であれば「Su-27UBK」という機体になるが、判然とはしないが、中国国産の「J-11BS」のような感じである。
写真画質が荒くて判然としないが、エンジンもノズル形状から中国国産の「渦扇ー10(WS-10)」のように見える。
複座型を出してきたのは”日本軍機の異常接近”の画像データ収集とか、或いは今回の位置だと大陸にあるレーダでは若干頼りないところがあるので(中露海軍演習も終了しており今回は艦艇による支援もないであろう)、塔載するロシア製のN001VE大口径大出力レーダを使用して警戒機支援に当る目的とかだろうか。
AAMは故障なども考慮して通常2発は塔載するものだが、この機体はAA-11(R-73)1発のみ塔載しているので、積極的な警戒任務に当るというよりはやはり支援任務という色彩が濃いように思われる。

防衛省も、「ミリおたおやぢ」に考慮して、も少し画質の良い写真を何枚か公表してくれると有難いのだが。

日本に税金も払っていないのに注文つけるのは気が引けるのだが、異常接近された事案の発表なのであるから、自衛隊機の翼端くらい画面に入れる「絵ごころ」も欲しいところである。

(参考)
Chinese Military Aviation -Fighter II

PLA’s Flanker fighter family -SinoDefence