6月11日に発生した東支那海上空での異常接近事案について、中国国防部(English版)は、6月12日15:26付け、同じく22:09、同じく22:10付けと、立て続けに3本の記事を提示して、今回の事案の真相をここに明らかにし、日本による事案虚偽捏造と、その意図的で悪質な、我が中華人民共和国に対する中傷行為を国際社会に暴露糾弾している。

6月11日に、日本は自衛隊偵察機に対して中国軍戦闘機が危険な異常接近をしたと誇張して、”中国の軍事的脅威”なるものを虚偽捏造している。 これは去る5月24日の異常接近事案の主張に続いて、国際社会を欺き、中国と中国軍の印象を貶め、この地域の緊張を作為する、日本の事実無根の主張の新たな一例である。
ことの真実を完全に無視して白を黒と言い換え、悪党が告訴される前に先に被害者を訴訟するような、「悪人先告状」的な日本の行為は悪劣である。

真実は極めて明確である。
6月11日、人民解放軍空軍のTu-154機が東海防空識別区(ADIZ)空域内を、通常の哨戒飛行を行っていたところ、2機の日本F-15戦闘機が我機を追従、近接行動をとり、10:17から10:28にかけて、最短30mの距離まで異常接近して、飛行の安全に極めて危険な状態を創り出した。
同日の午前に、自衛隊YS-11EBとOP-3偵察機各1機が東海防空識別区空域に侵入し、偵察活動を行った。
中国は定められた規則に基づきJ-11戦闘機2機を発進させ、当該日本機の識別と確認を行ったが、距離は常時150m以上を保っていた。

中国軍パイロットの行動はプロフェッショナルであり、規範的で抑制的である。が、日本のパイロットのそれは、危険で挑発的である。

以前より、日本は中国軍艦船や航空機に対して追従や偵察、妨害活動を行い、中国軍艦船や航空機に危険をもたらしていた。 これが、中日間での海軍や空域での安全保障問題発生の源泉である。

日本は自らを反省するどころか、度々意図的に無責任な主張を行い、悪意を持って中国に対する欺瞞的扇動的な攻撃を
行っている、中国との関係における、その偽善性と二重性格を完全に暴露している。
日本政府には、中国と国際社会に対して事を明白にする姿勢が求められよう。

中国は、更なる措置を執る権利を保留する。


DM: China blames Japan for hyping up "close encounter" of military aircraft  2014-June-12 15:26

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近距离跟踪我图-154飞机的日自卫队F-15战斗机

以上は国防部見解だが、他の2本は新華社?記事を引用したもののようである。いずれも似たようなものだが。
China challenges Japan over jet encounter (Source: Xinhua) 2014-June-12 22:09

China blames Japan for warplane encounter over East China Sea (Source: Xinhua) 2014-June-12 22:10

日軍F-15による異常接近の明白な証拠として、2本のビデオが掲示されている。
1:「日军机从我图-154飞机左下方危险接近,距离约30米左右

2:「日军机从我图-154机头方向危险切入,距离约30米左右

主翼形状より人民解放軍空軍のTu-154より撮影されたとみられる。
航空自衛隊那覇基地所属の204飛行隊の2機のF-15Jが映っている。目標機のTu-154の左翼側に#866、右翼側に#815が付き、其々AAM-5実弾と600galタンクを2本づつ塔載したスクランブル装備であることが解る。

人民解放軍空軍のTu-154は民間機様の塗装のようで、民間登録記号を表記しているようだが、FUKUOKA FIRでの定期航空便のような飛行情報の無いアンノウンであるから、空自がスクランブルしたものであろう。

自衛隊機の動きは、目標機の左右に占位して確認し、僚機が目標機の後下方に回って確認するというスクランブルでの目標確認手順どおりのように見受けられる。

機体下面などに民間機では有得ない多数のアンテナや特異なレドームなどが確認出来れば、塗装は民間機であっても、中身は電子戦情報収集などの特殊用途の軍用であることが解ることになる。

レンズ効果で非常に接近しているように騙され易いが、よく見れば十分な距離間隔を保っていることが解る。
F-15は全長20m近い飛行機である。
映像からは、とても接近30mなどというものではなく、少なくとも150m以上の距離は保っているだろうか。

日軍F-15の異常接近により飛行の安全に大きな危険を感じたとしながら、日本への抗議が日本の抗議を受けた後となっているのは、可笑しな話であろう。

中国国防部では日軍F-15機による異常接近があったのは、当日の「10:17 to 10:28」時としており、これは北京時間であろうから日本時間とは1時間時差があり、日本時間では「11:17 to 11:28」時ということになるだろうか。

防衛省はYS-11EBとOP-3Cが中国軍機による異常接近を受けたのは、「11時頃から12時頃にかけて」としている。

国防部記事では、日本のYS11EBとOP3C機が中国のTu-154を追尾していたとあるから(22:09記事)、これが若し事実だとすると、同じ時間帯に同じ空域で、中国のTu-154に日本のF-15Jそして日本のYS-11EBとOP-3Cに中国のJ-11が一緒に居たことになり、些か奇妙な構図である。

ちなみにTu-154の最大速度は950Km/h、巡航速度は850Km/hといわれる。
P-3Cは最大速度760Km/h、巡航は610km/h。 OP-3Cも変わるまい。
YS-11EBなどはエンジン換装で多少性能が向上しても最大巡航490Km/hであり、最高速度もさして変わるまい。
Tu-154はOP-3CやYS-11EBを容易に振り切ることが可能であり、鈍足の機体が高速機を追尾するというのはなかなか難しい話であろう。

それにしても中国国防部の使う言葉の下品さだが、大国と称する国家の公的機関とも思えないところがあり、なにやら北朝鮮のプロパガンダを髣髴とさせるものがある。

嘗て中国には、孔子、孟子をはじめとする偉大な思想家がおり、四季山河の風情、人間世界の叙情を見事に謳い上げた漢詩の世界があったわけだが。 随分と中国も劣化したものだと思ったのだが、考えてみれば現在の中国共産党政権というのは、元々は大陸奥地の共産匪賊であり、第二次大戦終了の混乱期に乗じてソ連邦の支援を受けて国民政府を台湾に排撃することに成功し、中国を奪取したものである。
権力維持のための粛清では、文化大革命時だけでも40万とか1000万とか、粛清者の実数すら定かでなく、実権さえ掌握してしまえばあとのことは何とでも出来るという、力の信奉者といったところがあるだろうか。
育ちは争えぬというところか。

「中国共産党一党独裁」という、人間の自然な姿に反した窮屈な社会がいつまでも続くものでもあるまいから、いつの日にか濁った大河も又清々とした水の流れになる日も来るであろうか。
百年河清を待つことも、中国人なら出来ることであろう。


◆◆◆引用:朝日新聞NET◆◆◆

中国「日本の戦闘機が異常接近」 写真と動画を公開
倉重奈苗=北京、福井悠介     2014年6月12日23時27分

中国軍の戦闘機が11日に自衛隊の偵察機に異常接近して日本政府が抗議している問題で、中国国防省の耿雁生報道官は12日、「東シナ海の防空識別圏内をパトロール中、日本のF15戦闘機2機が至近距離に接近した。最短距離は30メートルだった」などと、日本側の発表とは別の事案を公表。「飛行の安全に著しい影響を与えた」と逆に日本側を批判した。当時の状況を撮影した写真と動画も公開した。

 日本の防衛省は、中国軍の戦闘機が11日午前11時ごろから正午にかけて、航空自衛隊のYS11EB電子測定機と、海上自衛隊のOP3C画像データ収集機に、30~45メートルまで接近したと発表。外務省の斎木昭隆事務次官は12日午前、中国の程永華(チョンヨンホワ)駐日大使を同省に呼んで厳重に抗議していた。

 しかし、中国国防省はこの件について、「中国空軍は関係規定に基づき、殱11戦闘機2機を出動させたが距離は150メートル以上を保ち、抑制的に対応した」と日本側の主張を全面的に否定した。

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中国国防省が公表した自衛隊のF15戦闘機の画像(右手前の翼は中国機)=中国国防省のホームページから

http://www.asahi.com/articles/ASG6D5QBWG6DUHBI01W.html?iref=comtop_list_int_n04
◆◆◆
朝日新聞の使用写真は、レンズ効果による異常接近感がよく出た写真であり、これを使いたかったのだが、中国国防省のサイト内を眺めても見つけられなかった。 何処から入手したのだろうか。