日本の対外支援というのは、内閣の方針を受けた外務省が具体的なところを調整して取り纏め、自衛隊使用の必要があれば防衛省に話をするということなのだろう。

12月6日に空自KC-767がエボラ熱防護服2万着輸送任務で、アフリカに飛び立ったという。

行き先はガーナだという。

エボラ熱対策の戦いの最前線となっているリベリアやシエラレオーネの現場へは、国連機関に搬送を託すのだと言う。

現地では防護衣はじめ何もかもが不足していて、本来使い捨てのものを洗浄して再使用しているような状況は、この春先には知られていたことである。

在アフリカの国連エボラ対策機関も、輸送力はじめ余力が有り余っている状態ではなく、寧ろヘリ等輸送力の国際支援を求めている状態である()。

米軍はC-17やC-130で直接リベリアの飛行場へ、さらにV-22オスプレイを展開させて必要な物資を必要なところへ搬送している。(Operation United Assistance

英軍はシエラレオーネの河川網を活用して舟艇で物資を搬送している。(UK Government Response

「Direct Relief」という人道支援の慈善団体が米国にあるそうだが、この団体が747F(貨物輸送機)をチャーターして医療用必要資材100トンをシエラレオーネとリベリアの空港に直接搬入したのは、9月21日のことである。(

アフリカの現地では毎日何人もの人が亡くなっているのである。本来最前線への戦術輸送を行う空軍が、民間団体よりも後方に着陸するような人道支援というのでは、どうなのか?


あらゆる資金提供も物資供与も、必要とする現場まで届かなければ、人道支援にはなるまい。
★★★
日本の支援

西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行に対する日本の支援(総額約1億4,500万ドル)(平成26年11月7日現在)
(1)緊急無償資金協力:約4,202万ドル
(2)緊急援助物資供与:約92万ドル
(3)国際機関への拠出金等:約215.7万ドル
(4)専門家派遣:WHOを通じて延べ10名の日本人専門家を派遣。
(5)草の根・人間の安全保障無償資金協力:約80万ドル
(6)個人防護具(PPE)の供与:約70万セット
(7)今後の支援:最大1億ドル

外務省サイトより。
★★★

「銭は出してやるが、危険は嫌だ。」と言うところか。

「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」、日本国憲法(前文)だが、外務省は国際社会での名誉ある地位は、「札束で買える」ものと考えているのだろうか。

『エボラ・パニック日本上陸は目前「人類滅亡まであと100日」』だそうだが、
エボラ熱は発症者と濃厚接触しなければ感染はしない。
日本は、「一国平和主義」から更に進んで、今や「一国安全主義」?

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小牧を出発するKC-767。隊員は命令を粛々と実行するのみ。(防衛省Photo)