5月9日の、「潜航中の潜水艦から戦略弾道ミサイルの発射に成功した」との北朝鮮のニュースだが、ミサイル発射試験時の写真の中に近傍に船舶が存在するものとそうでないものが見える。

Youtube:「Kim Jong Un Watches Strategic Submarine Underwater Ballistic Missile Test-fire」ー北朝鮮のニュースの写真
nk11test

NKSLBM
船がミサイルの飛翔速度より速く動く事はないだろうから、奇妙である。
潜水艦のSLBM発射試験で、船舶がこれほど発射に近い位置にいることは有得まいし。

全てはプロパガンダの国であり、合成や加工したり、違う試験時のものを使い回したり等が考えられ、公表写真の信憑性には疑問符が付く。

公表写真が疑問だからといって、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の潜水艦発射試験の実施自体を否定出来ないのも又かの国である。

色々な資料を解析して、何が行われているのかを判断する必要がある。

北朝鮮ウォチャーの「38NORTH」では、写っている船舶は曳船で、今回のSLBMミサイル発射試験は、シンポ型潜水艦でなく曳航されている沈下式ミサイル発射テスト台船より行われた可能性が高いものと解析している。(参考同サイト

海面下に沈降させてSLBM水中発射を模試できるこのミサイル・テスト台船は、グーグル・アースで見ることが出来る。
testbarge
四隅に支柱を設けた中心にミサイル発射筒と思われる設備がある。浮きドックと同じ要領で海水を取り込んで台船を海中に沈下させることが出来るという。自走は出来ないようで移動は曳船によるようだ。

russiantestbarge
これはソ連の沈下式SLBMテスト台船。(PSD-4型。1961年頃)基本構造は同じでありよく似ている。

今年1月23日に水上プラットフォームからミサイルの射出試験が行われ、4月22日には水中プラットフォーム(潜水艦ではない)からのミサイル射出試験が行われた、との米軍筋情報ニュースが流れていたが、いずれもこのミサイル・テスト台船を使用したものと思われる。

ミサイル・テスト台船を使用した海上テスト実施前には、昨年11月(10月ともいう)に新浦の陸上試験施設において、陸上でのミサイル射出試験を実施しているという。

陸上や海上/海中のミサイル・テスト・スタンドを建造して、SLBMミサイル・システムの機能・性能を一つづつ確認しながら開発を進めている姿勢は合理的・科学的であり、北朝鮮もなかなかどうして”屋根屋の褌”である。

5月8日に行われたと言われる(韓国情報筋)今回のシンポ型潜水艦からのSLBM発射であるが、テスト台船による水中射出試験を終えているので、今回潜水艦を使用してミサイル射出試験を実施したとしても不思議はないであろう。

ミサイルは150mほど飛翔しただけと言われるが(韓国国防省)、潜水艦からのミサイル射出機能の確認試験であればミサイルを本格的に飛翔させる必要はないわけである。

このSLBM(KN-11、北極星1型、基はR-27)の本格的なミサイル飛翔試験を行うとなれば、日本列島のどこかを横切り、太平洋に弾着させる外ないであろうか。

いくら相手が平和ボケ国家の日本と言っても弾道ミサイルを向けて飛ばすわけにはいかないから、ミサイルの飛翔性能の確認試験は衛星の打ち上げ等いろいろ工夫して行うこととなる。

「38NORTH」のサイトには、5月10日に撮影されたという新浦の潜水艦開発施設の衛星写真が出ているが、シンポ型潜水艦は係留の艦首方向が以前と逆で、埠頭には大型トラック(トレーラー)2台(1台は重クレーン装備のようである)とミサイルのコンテナー様?のものが見え、活動が活発な様子が窺える。

反面ミサイル・テスト台船のほうは、台船も係留埠頭も全く静かで動きが見られない。

陸上にはバス(マイクロバスか)や車両が駐車しており、外来者が多かったことも窺える。(Fgure.8 大型トラックは以前も駐車していた。)

SLBM試験直後である5月10日の衛星写真から窺えるのは、シンポ型潜水艦は出動して”何らかのこと”を実施したということになる。

新浦の潜水艦開発施設には造船施設が3つ(オープンな船台が1つと屋内建造施設が2つ)見えるが、緑の屋根のものは昨年来改築拡大されている。

シンポ型潜水艦は昨年7月の衛星写真で突然確認されているので、新浦の屋内造船施設で建造されたものと思われ、これから建造されるであろう後続艦も屋内建造するであろうし、造船施設の近代化改築はそのためのものと考えられようか。

Shinposhipyard
緑屋根の屋内造船施設はかなり大きいようであり、シンポ型をストレッチしたような大型潜水艦建造にも十分対応可能であろう。機密保全が難しいオープン船台は潜水艦建造には使われていないようだ。

北朝鮮が弾道ミサイルを塔載するSLBM潜水艦の保有に向けて、かなりな国力を投入していることは明らかであり、複数のSLBMを塔載する”改シンポ型”などが出現してくるのは、意外と早い(2~3年後とか)のかも知れない。