空軍のA型、空母運用の海軍機C型、そして垂直離着陸機能(STOVL)を持つ海兵隊のB型と、3っの派生型の同時開発ということで問題も多かったF-35プロジェクトも、いよいよ実用部隊配備の段階にさしかかって来ている。

STOVL運用機であり、F-35の内では最も複雑な機体であろう海兵隊のF-35Bが、意外にも最初に実用になるといい、今年末にはIOC(Initial Operating Capability)を得る予定で、海兵航空隊VMFA-121がF-35ファミリー初の実戦能力を持つことになる。

2016年には空軍型のF-35AもIOCになる予定で、”高齢化”の進行する米空軍のF-15やF-16の更新がやっと始まることになる。(2014年時点でF-15Cの平均機齢は29.6年、F-16Cのそれは23.8年である。今やアメリカ空軍は骨董品空軍!)

本来F-15Cに取って代わる筈であったF-22は少量生産で終了し187機しかないので、空軍の主力の大部分がF-35と言うことになる。

いずれも1:1の交替ということにはならず、調達機数は大分減るので、かつての冷戦末期の空軍保有機数9千機といった時代は最早遠い昔話であり、米空軍も保有機数5千機程度の、戦闘機も何もかも嘗ての半分の規模のコンパクトなものになってゆく。

一番最後に実用化になる予定の海軍型のF-35Cも、去る11月に空母での第1回運用試験(DT-1)が実施され、問題も無く終了したという。

あと2回ほど艦上運用試験が予定されていると言い、C型が一番最後になるが2018年には海軍の部隊配備が始まるようである。

VX23(実験航空隊)から2機が派遣され、サンディエゴ沖の空母ニミッツで行われたDT-1の模様。
発着艦各124回、タッチ&ゴー222回、飛行回数33回、飛行時間39.2時間であったと言い、順調だったようで予定より3日早く終了したという。
 
f35.com Video Gallery

海軍型F-35Cは当初、どうしたことか着艦フックが着艦制動ワイヤを掴まえられないという問題があった。

F-35Cの着艦フックはF/A-18E/Fのそれをベースにしたというが、F-35Cは主脚とフック迄の間隔が他の機種よりかなり短く、本来主輪に踏まれた後セットされた高さにバウンスしたワイヤを着艦フックが捉える筈が、そうはイカの金太郎になったようである。
F35CTF
http://s3.documentcloud.org/documents/274217/dod-quick-look-ahern-report.pdf

着艦フックの取り付け位置の変更には機体形状から限度があり、一時は機体形状そのものを設計変更する必要さえ言われる深刻な問題であったが、”寝ている”状態の甲板上のワイヤでも確実に拾えるデザインにフックの形状を変更することで見事解決している。
F35TFDS
今だから言えるが、なあんで最初からこうしなかったのかとw

これは最近のFox Newsから。


機体全周6箇所のEO/IRセンサー(Electro-Optical Targeting System-EOTS) により360度の視界をパイロットのヘルメットに表示するという。
レーダーやセンサーにより自機が把握した情報のみでなく、データリンクにより友軍機のセンサー情報も利用出来るので、戦域全体の彼我の状況を把握しつつ作戦機動が可能である。 敵を知り己を知れば百戦するとも危うからず!

相手に捕捉され難いステルス性や、速度、機動性といった機体自体の性能を超えた能力を発揮できる戦闘機であり、やはりこれまでとは次元の違う戦い方をする新しい世代の戦闘機なのであろう。

レポーターの美人女史だが、アナポリス(Naval Academy)卒の元海軍のF/A-18戦闘機乗りという。
コールサインは「Flower」。
こんな"bandit"なら俺もドッグファイトで落とされてみたいものだ、などと不謹慎な事を考えてはいけない。
Lea Gabrielle