米国の6人目の感染者は米国内初の人→人感染の確認事例となっている。

 先日感染が確認された支那旅行帰りのイリノイの60代のババ昔若かった女性の旦那さん(支那旅行には行かなかったという。利口な方である)だそうだが、これは「濃厚接触者」だろうし、検査結果が「感染が全く確認されない」だったら却って親族一同には別の不安が生じたことだろうか。

 さらにマサチューセッツで1人、カリフォルニアで4人感染確認者が出たそうで、現在11名の確認感染者となった。 カリフォルニアの一人も感染者の配偶者で米国内での人→人感染例だという。

 中国国家衛生健康委員会の発表では、死者は前日より57人増えて361人になったとか。 毎日60人近い人間が死んでいく状況というのはなかなか深刻であろう。

 武漢からフィリッピンを訪れていて発症した44歳の中国人男性が亡くなったと言い、中国以外での初の死亡例となっている。 容体は安定し回復に向かっていたそうだが亡くなる24時間前から急変したのだとか。 致死性もなかなかのものを持つと言えようか。 ちなみに同行の中国人妻も感染が確認されたという。

 中国国内の感染者は判明しているだけでも2万人に迫る勢いのようであり、封鎖状態にあるという「主戦場」の武漢市内などはかなりな修羅場であろうか。

 フランスでは医師が感染してしまったそうだが、最も注意しているはずの医療関係者が感染するのであるからこのウイルスの感染力というのも結構なものなのであろう。

 本場中国では医療関係者の感染も少なからず出ていることは想像に難くないが、実態は不明。 最前線で感染症と日夜格闘している医療関係者に感染が生じるようだと関係者の士気への影響が大きいであろう。

 しかし、ひと月程で感染症がここまで拡がってしまうというのは、アフリカなどの発展途上国であるならば兎も角として、中国は世界第二の経済大国であり公衆衛生・医療インフラについてもほぼ一流のものを持っているであろうに些か驚きであるが、やはり情報開示を躊躇い、新しい感染症の発生初期での封じ込めに失敗していることが大きいのであろう。

 中国は共産党一党独裁の政治体制であるから、行政機関も共産党の指導監督下にある。 権力を独占している閉鎖的な党内での権力闘争があり、夫々自らの保身がある。 行政は常に党の意向を注視しながら言動する必要があろうし、党も又そのように仕向けているであろう。 情報を開示した場合の人民の公益あるいは開示しない場合の人民の不利益ということよりも、情報開示した場合或いは開示しなかった場合に党はどう思うか?自分の処遇にどう影響するか?という思考が優先してしまう構造である。 また報道を管理する政治体制であるから、事実は如何様にでも都合よく作ることが出来るというプロパガンダの思考がある。 一般大衆の下級人民のほうを向いて仕事をしても何の得にもならないばかりか、下手をすれば党に睨まれて自分自身が危うくなりかねない。 前回のSARSの失敗体験も生かされず、今回も同じ轍を踏んだのも新型感染症の初期状況を見誤り軽く考えていたといった単純ミスではなく、中国の政治行政の体質的問題に起因するものであろう。

 中国国内はもう仕方ないとしても、感染症の世界拡散は防がなければならない。

 米国も先日大統領直轄の当感染症タスクフォースが記者会見し、「Public Health Emergency」(国民健康非常事態)を宣言している。 米国民で14日内に湖北省に居て帰国した者の強制隔離や同じく中国本土に居た者への観察・自主隔離措置、外国人の場合には14日以内に中国に居た者の入国禁止、などの措置が執られることとなった。 「非常事態」とは穏やかでないが、国内に蔓延してしまってからでは対応は難しくなるので今のうちに一般の注意を喚起し、また感染に対する多重防御の体制を敷く、ということであろう。 隔離観察施設は軍のベース(駐屯地)を使うと言うが、軍施設なら元々隔離されているので好都合かw。
 
 数年前のエボラ出血熱騒ぎの時に、感染してしまった看護師の治療の陣頭指揮に当たっておられた先生の腕組した難しいお顔が見えるが、この先生はNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長を長く務められており米国での感染症の第一人者という。 感染症の大家というから水虫の先生なのかと思ったが、もう少し人類に深刻な影響のあるHIV/AIDSの大家のようだ。 先生の研究所の年間予算は$5.5billionという。 先生の資格はMD(医師)となっておりPh.D(医学博士号)は持たない様で、研究畑よりやはり治療や感染予防策といった実践畑の先生なのであろう。 ちなみに米国の各大学などから贈られたhonorary doctoral degree(名誉医学博士号)は45に及ぶという。 CDCの所長もMDであるが、おつむりのハゲ具合を見てたら子供の頃お世話になった仙台宮町の松本先生を思い出した。

「Early missteps and state secrecy in China probably allowed the coronavirus to spread farther and faster」
ワシントン・ポスト紙の記事だが時系列が纏められており大変参考になる。