なにか唐突という感じだが、神奈川で80代のお婆さんが武漢新型肺炎により死亡したというニュースである。 該感染症による日本での死者の第一号が発生したことになる。

 東京ではタクシー運転手が感染していたと言い(亡くなった婆さんの義理の息子?だとか)、和歌山では医師が感染したのが確認されたという。 また和歌山の農業の方の感染が確認されたという。

 いずれも中国との直接の接点はないのだと言い、日本国内での人→人感染の疑いが強いのであろう。

 日本の中国からの入国制限措置は湖北省に限ってのものだったといい、新型感染症が武漢を中心とする湖北省内に封印されているというのであれば兎も角として、中国全土に感染が広まってしまっていたのであるから、防疫対策として中途半端であり理解しがたい措置である。

 米豪等諸国の中国本土からの入国者拒否に対して中国は強く反発していたという。

 日本は来る4月に習近平主席を国賓として招待する予定だったと言い、経済面では中国は日本にとって最大の貿易相手国でもある。 米国との関係が悪化していた中国が日本に接近し、軟化して改善しつつあるように見えていた日中外交関係や、経済面への悪影響を思慮した政治的判断での入国制限措置であったろうか。 有り体に言えば中国の顔色を窺うばかりに、感染症予防の防疫策としては有効性の欠けた、言わば流れて来る汚染水をザルで受け止めようとしたようなものか。

 中国からの訪日者数は年間959万(2019年)とダントツであり、2019年12月にも71万ほどの中国人が日本の各地を訪れていた筈といい、早い段階から武漢の新型感染症が日本国内に入っていた可能性も否定はできないが、為すべきこと出来ることの全ての努力を行ってはいなかった、という憾みは残ることだろうか。

 経済というのは後から復興が可能だし、外交と言うのも修交が可能であるが、犠牲になった国民の命というのは元へは戻すことは出来ない。 国民の行政府への信用が失われてしまうと、信頼回復には長い時間を要することになる。 人間社会において信用というのは一番大切なものであろうが、信用というものは築城10年落城一日のものである。

 今後かなりの勢いで日本国内で感染者が増えていく怖れがある。 本場中国の状況からして国賓習近平の訪日もこの春というのは些か無理なことだろうし、日本国内の感染者の状況如何では各国が日本への渡航制限を設けることが考えられ、根も葉もないネット上の流言飛語であった東京オリンピックの中止、延期ということが現実問題になることも考えられようか。