今回騒動になっている感染症というのは、昨2019年12月初め頃に湖北省武漢の一角で発生したものなのであろうが、瞬く間に世界中に感染が伝播し多くの死者を出し、状況は現在さらに悪化し続けている。 世界的に人の交流が止まり、各種の生産活動が止まり、多くの人々が今までとは異なる生活を余儀なくされている。

 未知の感染症の感染力とその破壊力の凄まじさを世界はまざまざと見せつけられていようか。

 世界中の医療研究機関が有効な治療薬の開発に傾注しているところだろうから、近々このコロナウイルスに有効な治療薬もいくつか発見・開発されることと思うが、社会的に「撲滅」するにはやはり「ワクチン」が広範に接種可能になることであろうか。 ワクチンの臨床試験も始まっていると言うが、0歳から100歳+まで様々な体質の人が対象になるのであろうし臨床試験を幾つも重ねて安全性を確認する必要があるのであろう。 もしも拙速に近道をとるようなことがあればワクチン禍などという悲惨を招くから、感染症の大先生の言うようにワクチンの開発と言うのは通常10年から25年を要するものと言い時間は掛けねばならぬものなのであろう。 現在色々と知恵を絞って1年から18か月での完成を目指しているとか聞くが、接種に際しても医療従事者、救急隊員、消防・警察、学校関係云々と社会的優先順位もあることだろうし、俺が近所の薬局でワクチン接種を受けられるようになるのは、10年後の秋頃になるであろうか(苦笑)。

 当地のワシントン大学の研究所( Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME) at the University of Washington’s School of Medicine)が感染モデル解析を行っているがそれによれば全米でのCOVID-19患者のピークはこの4月中旬頃となる。 日々の新データ入力で解析結果は多少流動するとしてもやはりこの数週間がヤマとなりそうである。 トランプ大統領もタスクフォースも今週からこの先死者も増加する深刻な状況に入る(そしてトンネルを抜け光明が差す!)と公言しているので同じ認識なのであろう。 いよいよ一番苦しい胸突き八丁の修羅場に来たわけである。

COVID-19projection
原図はIHMEより。

 ここ数週間が「対COVID-19戦闘の決戦期間」と言うことになろうが、入院者用の病床、重症者用のICU、重症肺炎患者に不可欠であろうVentilator(人工呼吸器)をはじめ各種医療器材の必要数もピークに達するから、米国内随所に発生するであろう「激戦地」に如何に効率的に医療リソースを迅速投入できるか?医療ロジステックス戦の手腕の見せ所となろうか。 

 救急要請に躊躇なく応じている消防救急隊員や昼夜の別なく医療の第一線で今この時も全力奮闘している医療関係者の緊張もピークに達するであろうし、第一線に在る医療関係者には只々畏敬と感謝あるのみ。

 Bothellというからこの近くなのだが、重症肺炎治療に不可欠なVentilator(人工呼吸器)を製作している会社があるという。

 月産150台ほどのVentilator専門メーカーと言うから、小さな会社である。 米国には5社ほどあるというVentilatorメーカーのなかでおそらく一番小さな会社であるまいか? 「Ventilatorー人工呼吸器」というのもただ酸素を送ればよいというものでなく種々付随する機能機器が必要なもののようだが、このVentec Life Systems社の製品には5種機能を備えたポータブル・タイプのバッテリー駆動のものがあるといい、真に野戦病院にはピッタリだろうか。

 この会社のCEOは元々は弁護士だったようだが、今回の武漢新型肺炎発生を聞くや「感染患者の命は我が社の双肩に懸っている」と、一日24時間連日無休で月産1,000台の生産体制を構築しているという。 大統領の戦時動員令により巨大自動車メーカーGMがVentilatorの生産をすることになったが、Ventec社が技術提携してGMのIndiana州の工場で生産している。 月産1万台生産するというから流石巨人GMである。

 ワシントン州は先日、配給を受けた連邦備蓄の医療器材のうち400台+のVentilatorを返納している。 これらは「激戦地」となっているニューヨーク市等に送られている。

 地元の小さな会社が大きな仕事をしている。