ワシントン州はCOVID-19感染の山は越したものと考えられている。

 日々の感染確認者数や死者も減少傾向に入ってきているわけだが、在宅勤務や他人との距離を取るのにも疲れ、飽きてきたぁ、とばかりにリラックスしてしまうと感染がぶり返してくることになる。 以前の普通の社会生活に戻るには段階を踏んで一歩一歩進める必要があり、まだ暫くの時間を要するのであろう。

 感染症には波があり、今回の第一波が過ぎても秋口辺りから第二波の感染拡大が生じるとの大先生の嫌な話もあり、有効な治療薬もワクチンも未だ無い新型感染症であるからこれとの戦いはある程度長期戦を覚悟する必要があることだろうか。

 スーパーなどでは店内が密集しない様入店者数を制限しているので、列それも6ftほど間隔をあけて並ぶ必要があり買い物にも時間が掛かる。 COSTCOなどは感染した場合ハイリスクな高齢者のために火水木の早朝8時から1時間の「高齢者専用時間帯」を設けている。また、医療関係者には列を作らず優先入店させる優遇措置の「粋な計らい」をしている。

 俺が買い物に出るのは「酒とツマミ」なので今のところさしたる影響は感じていない。

 このウイルス(ウイルス名:SARS-CoV-2)は、感染しても25%の者は全く症状が出ないといい、25~50%+(81%と中国のレポートは言う)は症状が軽く「風邪程度」なのだという。 感染者の過半数は所謂「医者要らず」の状態であるがウイルスをまき散らす能力はあるので、人の集中する都会などで一旦感染者が入って来てしまうと極めて効率的に感染が拡大してしまうものという。

 症状が出た者のなかでは回復してきて2週目になって急激に症状が悪化し肺呼吸機能を失うことがあるという。高齢者の場合などでは発症時にいきなり肺呼吸機能障害を生じる場合があるといい、そのような場合は救急要請を躊躇するなと言う。高齢者の場合は救急車が先きか?お迎えが先に来るか?ということになってしまうだろうか。 肺ばかりでなく他の臓器類や脳などにも障害発生例があるといい、解剖では血液の凝固が顕著にみられるというから、血液の凝結能力に異常をきたし臓器等からの出血を呈するエボラ出血熱とは丁度逆の血液反応ということになろうが、血栓障害を惹きおこしているか。 体力的に脆弱な高齢者や持病のある者の致死率が高いのは解るが、警察官、消防士、軍人といった人一倍の体力がある筈の若い健康体の者にも少なからぬ死者を出しているので、あまり年齢などに関係なく致死性はあるのであろう。

 なんとも性質(たち)の悪いウイルスである。

 今現在このウイルスに対する効果的な治療薬もワクチンも無いので、感染の媒体である人などとの接触を避けるという消極的な防御法をとるしかない。 「引き籠りに徹する!」とはしても皆食糧は買い出しに出る必要があるし、酒もやはり欲しくなる。 誰しもスーパーなどへは買い出しに出るわけだが、「スーパー内での1人の感染者の咳一つ」がどのようにこのウイルスを拡散させるのかのシュミレーション動画が興味深い。

 
 このAalt Universityというのは北欧フィンランドの大学という。 循環暖房などで店内に空気流があればウイルスの滞空時間・拡散領域は更に延びることだろうし、棚の商品や床面に付着したウイルスは触れた客の手や靴底に付着して更に運ばれてゆくことになる。 買い物時には手袋着用、ショッピングリストを作って自分の買う物のみ触れるようにし素早く退店する等が推薦されているが、99%の防御に成功しても1%の抜け穴があれば感染してしまうのであろうから、なんとも厄介な話である。 既に自分が感染者である可能性もあるし、CDCも今や人ごみに出る時にはマスクの着用を推薦している。(CDC:マスクはTシャツ等コットン布で自作したもので良いとしている) 何処でも人とは間隔を取り手洗いの励行は言うまでもない。 「人を見たら感染者と思え!」の時代である。

627thHC
 シアトルの屋内競技場に設営された「陸軍野戦病院」 Photo: 627thHC Spartan Medic
陸軍は野戦病院3個隊に動員を下令したと言い、2個隊は激戦地となったニューヨーク州へ派遣されている。 シアトルに来てくれたのはコロラド州に駐屯する627th Hospital Center 通称「Spartan Medic」で、大佐の女性隊長以下300名程が地元の衛生隊等と合同し、手術室、X線室、ICU等を含む248床の野戦病院を数日で開設し満を持していたが、シアトルでは幸いにして爆発的感染拡大は生ぜず、野戦病院は一床も使用されることなく先日部隊は撤収している。 コロラドに原隊復帰した同部隊は次なる激戦地への出動命令に備えて48時間内出動待機体制にあるというから頼もしい。
 この女性部隊長(Col. Hope M. Williamson-Younce)は、高卒一般隊員として入隊し、衛生兵として下士官迄昇進。その後に部内幹候として将校コースに進んだと言う。91年の湾岸戦争を皮切りに、数多の野戦病院実戦展開を経験している。 看護学での博士号を持ち修士2つを持つという。 軍隊生活の酸いも甘いも嚙み分けた部隊長ということになろうか。
Col. Williamson-Younce
627thHC部隊長着任式での同大佐。 US ARMY Photo

 シアトルへは海軍の2隻保有する病院船の1隻を派遣するとの話が最初あったのだが、病床1000を有する巨大病院船はLAとニューヨークの激戦地へ其々派遣されている。

 しかし、「野戦病院」、「軍医」と聞くと、これは戦場での銃撃戦や路肩のIED仕掛け爆弾などで負傷した将兵が対象なのだろうし、「腹部貫通銃創」、「両脚爆裂」、「頭部に入った7.62X39弾摘出オペ」等々の連続だろうし、いわば究極の救急医療とでも言えようか。 戦場に在る野戦病院であれば、時には生存率の最大値を希求するため、非情ともいえる冷徹な判断措置を軍医は求められることも生じようか。 やはり街中にある内科小児科とは少々違って、いわゆる荒業治療という印象がどうしても強いことだろうか。

★特設エヴァレット野戦病院★ 
「このアジア系の男は何言ってるのかワカランし、どうせ助からんだろ。薬も節約せにゃならん。 衛生兵ッ! こいつを楽にしてやれ。」
「はッ、処置します。」
「よおし! 次ッ!」
「軍医殿、この患者39度5分の高熱です!」
「ヨシ、直ちに両足切断!」
ーーもはや即死を望む。

☆☆
 Johns Hopkins大(COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering at JHU)の統計表。毎日更新される数字なので意味は無いが記念に貼っておく。
JHRptApr1920

 同じくワシントン州の統計(Daily statistics Washington state Department of Health
WAApr1720

 スノホミッシュ郡の統計(COVID-19 Case Count Snohomish Health District
SnohApr1720


 ニューヨークは相当な激戦地となったようだが、やはり人が密集する大都会というのは感染症には弱いだろうか。ニューヨークも峠は越したと言う。 ニューヨーク州の統計(New York State Department of Health COVID-19 Tracker
NYSApr1820

 それにしても、中国政府やWHOがも少し真摯な対応を取っていたならば一か月早く世界の感染症専門家に警鐘を打てていたろうし、現在の状況は大分異なっていた可能性を否定は出来まいか。 都合の悪い真実は隠蔽糊塗し、自らに都合の良い情報のみを流布することで社会人民を誘導しようとすることの罪深さであるか。