新緑の季節となった。

 夜来の雨の朝など、軽塵を朝雨に流された若葉の緑が朝陽に映えて輝き、萌えている。
「人呼んで、フーテンの寅」こと車寅次郎師であれば、「これからは、どこ行っても緑が萌えるようだぜ。」という台詞になるだろうか。

 それにしても、今年の春は「コロナ騒ぎ」で前代未聞のことであった。

 不要不急の外出禁止令で多くの企業は在宅勤務を導入はしたが、在宅勤務で生産性が挙げられる業種や会社には限りがある。 売り上げも無いのに人件費だけ払い続けることは不可能であるから、最初のひと月ふた月くらいはなんとか雇用を維持するものの、あとは各自の有給休暇などを使ってもらい、その後はやはり解雇ということになるのが多いであろう。 従来3%~4%だった失業率はここに来て15%ほどに跳ね上がっており、失業保険の申請・給付業務はてんてこ舞いだという。 理髪、美容院や個人経営のレストラン、バーなどは従業員の解雇どころか、いまや店自体が倒産廃業の危機に瀕していようか。 一人当たり$1200、扶養する子供がいれば子供一人につき$500の給付金は4月15日から支給されてはいるが(夫婦二人で$2400となるが、所得制限があり、夫婦合算所得が$15万を超えると超えた$100につき$5減額され$198000以上では支給0となる。独身や個別申告者の場合は其々$75000/$99000。)、これもひと月分、薄く延ばしてふた月凌ぐといったところだろうか。 企業への助成なども色々施策はあるようだが、いずれにしても一時凌ぎのものであるから、もうこの辺で経済活動を再開しないと、感染症は防いでも、職を失い家を失い皆が路頭に迷うことになってしまいそうである。

 幸い当地は新規感染者は減少傾向にあるから機は熟している。 州や地域によっては感染者が増えているところもあると聞くから、各州や市町村の各々の実情に合わせて、感染防止の施策は全て怠りなく実施しながら、状況によっては時には一歩後退する勇気も必要だろうし、臨機応変・柔軟な体制で、経済活動再開を進めていくようであろう。

 前掲JHUの統計を眺めてみると、全米の感染者数は1551668人、死者は93431人とあるから(5月20日現)、致死率は感染者の6.02%となる。

 同じくワシントン州では、感染者18811人、死者1031人を出している(DoH統計5月18日現)。致死率は感染者の5.5%となろう。 年代別の統計が出ているので、60歳以上と未満とにこれを分けてみると、59歳以下の「若い人」の場合は、感染者13168人に対し死者は103人であり致死率は0.8%となるのに対し、60歳以上の「高齢者」では、感染者5643人に対し死者は928人に達っし、高齢者の場合は致死率が16.4%になっている。

 オラの住むSnohomish County(郡)の統計(5月20日現)も見てみると、感染者計3163人に対し死者は132人で、致死率は4.2%である。 59歳以下の「若い人」では感染者2246人に対して死者16人で、致死率0.7%となるが、60歳以上の「年寄り」の場合は感染者917人に対して死者116人で、致死率は12.6%となる。

 今回のCOVID-19に感染した場合、59歳以下であれば、余程に不運でもない限りマズマズ死ぬようなことはないだろうが、60歳以上の「年寄り」の場合には、感染者の8人目までは助かるが、9人目は五分五分で危うい、そして10人目の感染者はこの機会にお迎えが来てまう。ということになろうか。

 ワシントン州は米国での「感染確認者第一号」を出した記念すべき、「武漢新型肺炎米国上陸乃地」であるので、爆発的感染拡大が懸念されたのだが、さほど酷いことにはならずに済んでいる。 ニューヨークが大変だったといい、医師や看護師など医療関係者は16時間勤務の日々が続いたと言い、修羅場に疲れ果てたものだろうか?自殺したERドクターの女医さんがいたと言うから気の毒である。 東岸ニューヨーク州には、早い段階で欧州経由で感染症が入って来ていたものと言う。 中国は、いまや世界第二の経済大国であり、観光にビジネスにと、中国人は世界中の何処にでも出かけている時代である。 危険な新型感染症が発生した中国の源泉地で封じ込めが出来なかった場合、世界中のいずれの国もが、深刻な問題に晒されてしまうことになる。

 今回のCOVID-19パンデミックを惹き起こした「SARS-CoV-2」と言うコロナウイルスは、元来中国奥地の洞窟に棲むナントカ蝙蝠を宿主とするものとか。 なにかをきっかけとして、「蝙蝠より人間サイコー、人間たんぱくゲキウマーっ!」とばかりに人間社会に出て来たものであろうか。

 湖北省武漢には、このような危険なSARSウイルス等の研究を可能とする中国初のBSL-4レベル適合の実験研究施設(中国科学院武漢病毒研究所の武漢国家生物安全実験室)が、2018年1月に運用を開始している。 同研究施設の建設にあたってはフランスの技術協力があり(中仏新型伝染病防止協力プロジェクト)、米国University of Texasと研究提携もしている。 人類にとって危険なウイルスの感染防止や治療法の開発には、そのウイルスを研究し感染伝播や発症のメカニズムを解明することが欠かせないわけで、ウイルス研究は大いにやるべきなのだが、如何せんこの研究施設については、安全性に懸念がもたれていたと言う。

 ケアレスな管理によるSARS-CoV-2ウイルスの漏出の疑惑が現在取り沙汰されている。

WohanBioLabo
武汉国家生物安全四级实验室(BSL-4实验室)

WuhanIofVirology
Google Earthで見る武漢病毒研究所BSL-4研究棟。探すのに苦労したが、仏語Wikiの位置情報がドンピシャであった。