Bandoalphaのらく書き帳

故郷離れてはるばる千里、ひとつ山越しゃ他國の星がぁ・・・昭和の終末高齢者! 思い付いた時に思いついた事などのテキト~なメモ書きらく書き帳ですぅ。 桧野俊弘 ご意見メールは:Bandoalpha@msn.com

2011年04月

内閣官房参与の辞任

3月16日に内閣官房参与に任命され、菅総理のブレインだった小佐古敏荘教授が辞任したという。
放射線の遮蔽、安全といったことが専門のようで、内閣府参与として放射線防護に関することを担任していたという。
小佐古研究室

今回の原発事故での菅内閣の対応には疑問なところが多い。

◇◇◇
平成23年4月29日

内閣官房参与の辞任にあたって
(辞意表明)

内閣官房参与

小佐古敏荘



 平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
 なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。

 私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行っている活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。
 特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
 ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
 さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りました。

 この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は現実の対策として実現されました。
 ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。




1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい

 この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。

 しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。
 
 とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。

 初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。

 また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そう答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40-50年前の考え方に基づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再引き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。



2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい

 緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。

 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。

 また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求めるものである。


以上


http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.htmlより。
◇◇◇

原子力非常事態

原子力発電所の非常事態については、これまでも総理大臣自ら参加する国家レベルでの実働演習も実施され、原子力非常事態発生時の手順なども事細かに決められていたようである。


国家非常事態への対応であるから、政権が交替してもこれは継承実施され、菅総理も実働演習に参加したことがあったようだ。


まさに今回のような原子力非常事態への対応の備えが、日本は立派に出来ていたわけだが、問題は
時の総理大臣に国家非常事態に際しては、国民の安全に責任があるとの国家のリーダーとしての自覚が無く、手順を無視した支離滅裂な行動で初動対処に混乱を生じさせていたということか。




次々と非常事態が発生している最中の3月12日に事故原発の”見学”に行く等、カイワレや胡瓜をカメラの前で食べてみせるのと同程度の危機感覚しか持ち合わせていなかったとゆう事か。

福島を返せ!

ICRPが今回の福島原発事故の実情に鑑み提唱した、被曝放射線量の上限20mSv/yというのは、1mSv/yの状態に回復させることを前提として、暫定的に居住可としているものであるから、20mSvという値が安全と言っているのでなく、将来1mSvの環境に戻るのであれば、許容できるリスクということである()。

この20mSvは外部被曝、内部被曝の合計だが、文部科学省の「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」では外部被曝しか考慮していないのだという。
学校給食や家庭で摂取する食物は、どうしても福島自産のものが多くなるだろうし、体に取り込む放射性物質も他の地域の人よりは多くなるだろう。
屋内では被曝量は低減するものとして、更に許容値を大きくとってもいる。

大人であれば、リスクは極めて小さいことに自分で納得して其の儘居住することもありだろうが、子供の場合はそうゆう判断力は無い。

大人より子供のほうが放射能に対するリスクは大きいわけだが、日本中で福島の子供だけが、被曝のリスクを被らなければならないという謂れもまた無いことである。

本来子供を守るべき立場である筈の文部科学省が、福島の子供を放射能被曝のリスクにより曝す方向の今回の指導は多分に問題があるところだろう。

子を思う親にしてみれば、「理屈はいらない。元の福島を返せ!」の一言か。

汚染された土壌等の除染計画なども明示して、文部科学省は、「被曝から飽く迄子供を守る」という基本にかえり、もう一度指針を練り直す必要があるだろう。

屋内は40%?

文部科学省の、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」()というものを見ると、年間20ミリ・シーベルト未満となる放射線量の計算として、
「児童生徒等の受ける線量を考慮する上で、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。」
としている。

屋内では屋外の40%の放射線量になるものとしているようだが、本当だろうか?

原子炉などの放射性物質からα線でも直接浴びるような状況であれば、壁や屋根など建物による遮断効果が期待できそうだが、何十キロも離れた場所というのは、放射性物質が空気中に微小な埃のような状態で到達しているのだろうから、普通の生活をして出入りしている家屋では屋内と屋外とで、10:4などとそれ程までに違いが出るものだろうか?

3.8マイクロ・シーベルト/時という数字が国の”新しい基準値”として独り歩きし始めてもいるようだが()、もし屋内と屋外の放射線量が同じである場合には、この値では、年間放射線量は33ミリ・シーベルトを超えるものになってしまう。

出入り口は一箇所とし、他のガラス戸や窓等は全て締め切ってテーピングをして密閉性を高め、艦艇でのBCR対処のそれのように一箇所の出入り口も2重構造にして、汚染された着衣を脱ぎシャワーで身体の除染を行ってから屋内に入れるようにでもすれば、屋内放射線量は相当に低減することが可能と思われるが、これでは暖房や調理などで火力を使った場合に一家中毒になってしまいそうだ。

屋内退避とか、屋内では相当に放射線量が減ると思うのは、普通の状態ではあまり現実的なものではなさそうに思える。これから暖かくなるのであるし、まして出入りの激しいであろう小学校などでは。

文部科学省の通達では、福島の子供たちを年間20ミリ・シーベルトを遥かに超えてしまう放射線量下に曝すことになってしまう危険があるのではないのか?

放射線量の基準値は年間1ミリ・シーベルトである。

短期間のうちに福島原発からの放射性物質の漏出が阻止され、汚染された地域の除染も終わると言う確約があるのならば兎も角、巧みに数字を弄って姑息な手法で現状を追認するよりも、児童を徒に放射線に曝さない施策を考えるべきではないのか。

追記;
「学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安」とした「非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年」の根拠は、国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)だとあり、「20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。」との根拠は、原子力安全委員会の示した考え方だという()。
引用の根拠に一貫性は無いようである。

建物というのは、機密性の高いコンクリート製の立派な官邸もあるだろうし、襖と障子の家に住む人や、或いは被災・避難してテント生活の人、車中生活の人も出るだろう。 建物の形態や、出入りの頻度などの生活様式でも大きく条件は変化するだろう。
説明として付すのは良いとしても、一般的な指針として使用される数値算出に一率適用することは疑問だろう。

ICRPでは屋内・屋外といった表記は用いられてはいないようだ。

ICRP Publication 109 Application of the Commission's Recommendations for the Protection of People in Emergency Exposure Situations(

Fukushima Nuclear Power Plant Accident March 21, 2011(

放射線防護基準

放射線の安全値については、国で定めた値がある()。
放射線関係の仕事に従事する者は別途定められているが、一般人の年間放射線限度は1ミリシーベルトを超えない事とされている(医療等を除く内部&外部被曝の合計)。

米国でもEPAは100mrem/yを限度としているので、これは1ミリシーベルトになるから日米同じである。
いずれもICRPの勧告を基として決められているようであり、同じ値になっているのだろう。

今回の福島原発事故にあたり、ICRPは緊急暫定値として1~20ミリシーベルトも居住可という声明()を出しているが、1ミリシーベルトという基準値に回復することを前提とした話であるから、一般人の放射線安全値が1ミリシーベルト/年以下という基準に変更は無い。

政治家や、果ては学者や研究者などでも、「直ちに健康への影響は無い」「現在の福島の放射線レベルは健康に全く問題は無い」、「却って元気になる」等の解説や主張をする人もいるようだが、研究や学説については種々あるのだろうが、社会一般に自説を主張する以前に、学会やICRPで自説への支持を得ることがまず先だろう。
そして、なぜ、自説がICRPなどで採用されないのかも考えるみることも必要だろう。

安全値というのは絶対に影響が出ないという、マージンを十分に取った値だろうから、謂わば「賞味期限」みたいなものか。
賞味期限を数日過ぎたコンビニ弁当を喰ったところで、”俺は絶対大丈夫”という自信があるが、バクテリアは確実に増殖しているから、病弱者・幼少者など耐性の弱い者はリスクが大きい。

それにしても、文科省も福島に関しては、今や学校でも20ミリシーベルトを基準としてるようで、1ミリシーベルトの限度基準など吹っ飛んでしまった観がある()。

現実問題として、1ミリシーベルトの限度基準としたのでは、福島の浜通り、中通り地方は人の住めない地域になってしまうだろうから()、もはや規則を現実の都合に合わせてしまう以外ないのだろうか。

原子力はエネルギーとして理想的なものであり、発生する大規模災害に耐抗出来る原子力施設構造を作る技術も持ち合わせていると思うが、事故が発生してしまった場合の影響の巨大さと、その対処が如何に難しいものであるかを思い知る。

今回の「フクシマ」の場合、原子炉自体は地震・津波に耐えており、バックアップ・システムも同様に耐え得る構造とすることは技術的に可能であったろうが、起こり得る災害の想定のほうを、国や電力会社の都合に合せて決めていた。

貞観の津波だとか、正式の記録も無いような何も定かでない千年も昔のことを言われても困る。
国の規制はリーズナブルなものでなければならないし、どこかで割り切らなければならない。
東京電力としても、国が定めた規則は全て遵守していたのであり、法や規則に違反していない以上、何も過失は無かった。
”福島の原発被災者には気の毒なことであるが、想定外のことが起きたのであり、誰にも過失は無かった”ことになるだろうか。
社会に有形無形のサービスを提供するに当っては、先ず安全なものでなければならない、という大前提の責任を棚上げすればの話だが。

「誰にも瑕疵の無い、想定外の自然災害によるもの」、と公式にはなるのだろうが、この事故は人為的な過失だろう。


◇◇◇日経社説 2011・4・25

原発の事故調査委をつくれ

◇◇◇
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