Bandoalphaのらく書き帳

故郷離れてはるばる千里、ひとつ山越しゃ他國の星がぁ・・・昭和の終末高齢者! 思い付いた時に思いついた事などのテキト~なメモ書きらく書き帳ですぅ。 桧野俊弘 ご意見メールは:Bandoalpha@msn.com

2013年01月

航空用バッテリー

JAL787とANA787機でバッテリーが”熱暴走”した問題は、日米の専門官が鋭意原因究明を行なっている最中であり、門外漢のおっさんが今ここでぶつぶつ言っても意味は無いのだが、ボーイング787型機はこれから一方の主力となる旅客機であり、おっさんとしても近い将来に、客室のいちばん後ろのほうの便所の隣の小さなエコノミー席に、”お客様”として座る機会もあることだろうし、我が身の安全に係わる話でもあるからやはり気になるぅ。

そもそも飛行機というのは、男の子なら皆そうだろうが、物心ついた頃には興味を持つだろうし、嫌いでない。
おっさんとなっても、この世で2番目に関心があるモノだから、”見たり触ったりする”ことが大好きである。

話は飛行機のバッテリーなのだが、これも世のバッテリーと同じく「鉛蓄電池」から「ニッケル・カドミウム(ニッカド)」のものが導入され、そして今回注目を集めている「リチウム・イオン」形式のものが現在は導入が始まっている。

バッテリーというのは基本的に危険物であり、確実な点検と適正な管理が欠かせず、しかも重くて大きさもあるので、飛行機に装備するにあたっては、位置(エンジンから離す、水素ガス通風、機体重心、電気負荷)と装備方法(強度と点検の容易さ)に苦労するものだとの主旨が、竹ちゃんマンが置いていった「航空工学講座5 航空機電気装備」という古い本に書いてあった、よ~な気がする。

リチウム・イオン・バッテリーは非常に軽いので(同能力ならニッカドの半分の容積・重量だという)、近年旅客機へも導入され始め、A380にも装備されている(補助照明用)そうだが、メインバッテリーとして使用するのは787が最初の機体なのだという。

「軽くて小さい」というのは如何にも航空機用に向いていそうだが、半面リチウム・イオン・バッテリーは従来のものに比べ”敏感”だといい、過電力や過充電等で”熱暴走”を起こし易く、又出火した場合には消火が難しいのだという。

ボストンでのJAL機出火では空港消防が到着したのが1040、鎮火報告が1219であった。787機の消火・救難教育を受けた完全装備の消防士が、赤外線センサーで火元を探知しHaltronという特殊消火剤を用いて消火し高熱のバッテリーを機外に搬出している。
もし飛行中にこれが生起した場合、完全武装で消化剤を携行した消防士が偶々乗り合わせている可能性は高くないので、乗務員などが手持消火器等で鎮火させることはかなり難しいであろう。

能力は高いが、危険度も高く管理が難しいことになるが、今回のJAL、ANA機のバッテリーの件も、これが従来の「ニッカド」であったなら、過充電などで熱暴走を起こしたとしてもここまで酷くはならないだろうとの話も出ていたりしている。(そもそも「熱暴走」という化学的現象自体ニッカドでは起き得ない)

ビジネス・ジェットであるが、セスナ・サイテーション525Cは、リチウム・イオン・バッテリーを装備して販売を開始したのだが、グラウンド・パワーに接続して充電を始めるとバッテリーが発火するという問題が発生し、結局FAAは同機でのリチウム・イオン・バッテリーの使用を禁じ、ニッカドか鉛蓄電池に変更するよう耐空性改善命令を出している。(AD#2011-21-51

セスナ・サイテーションでは、リチウム・イオン・バッテリーの発火の危険に対する安全性を技術的に保障出来なかったことになるだろうが、ボーイング787の場合は、あらゆる面で余裕のある大型旅客機であり、リチウム・イオン・バッテリーの採用に当たっても十分な安全性を技術的に確保出来たものとしていたのだが、結果は驚くべきことになってしまっている。

1月24日にNTSB委員長がJAL機バッテリー発火事案の調査状況経過について記者会見を開いているが、「原因はまだ解らない」としている。
発火の可能性があるのでは運航することは出来ないから、同型機の運行停止が何時まで続くのかの見込みすら立たない状況になっている。

NTSBは発火したJAL機バッテリーには、熱暴走(thermal runaway)と電気ショート(short circuiting)の痕跡が見られたというが、それが何故発生したのかや、発火に至るまでの過程などが未だ解明されておらず、また、本来そうゆう状況の発生を防止するデザインが多重に組み込まれているものが何故巧く機能しなかったのかも調査中のところだという。

Investigative Update」 NTSB

リチウム・イオン・バッテリーは、そもそも航空機に装備出来るだけの安全性が技術的に保障できる段階にあるのかどうか?という議論も今後起る事だろう。


◇◇◇参考:産経新聞

日米の787トラブル 電池の製造時期にずれ
2013.1.26 00:54

日米で出火や発煙トラブルの続いた日航、全日空ボーイング787のGSユアサ(京都市)製バッテリーは、日航機の方が全日空機より製造時期が約10カ月新しいことが25日、国土交通省の調査で分かった。国交省は発煙・出火の原因が、特定の時期に製造工程で生じたものではないとみており、25日も米連邦航空局(FAA)と合同でGSユアサに立ち入り検査し、製造記録などを調べた。

 国交省によると、製造時期は全日空機のメーンバッテリーが2011年11月、日航機の補助動力装置(APU)用バッテリーが昨年9月。いずれもリチウムイオン電池8個をつなげた同型で、全日空機は昨年10月、今回発煙したバッテリーに交換してから456時間飛行。日航機は機体が完成した同11月に搭載、出火までの飛行時間は169時間だった。運輸安全委員会は、過充電などを防ぐバッテリー内蔵の制御装置が神奈川県藤沢市の電子機器メーカー製だったことを明らかにした。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130126/dst13012600560000-n1.htm
◇◇◇


NTSB委員長の記者会見:
素人にも解り易いようにと、よく配慮されたことが窺える説明である。 記者達からの同じ主旨の繰り返しの質問にも、都度懇切丁寧に答えている。

原因はまだ解らない段階であるが、原因が何であれ責任の所在がどうであれ、バッテリーから火煙を上げたという事実は、航空用バッテリーとして技術的には敗北であろう。

787バッテリー追加情報

NTSBが、ボストンでのJAL787バッテリー火災原因究明の3度目になる情報を公開している。(引用下記)

バッテリーなどの科学的解析はまだ進行中の段階だが、フライト・データ・レコーダーからは、当該バッテリーに規定以上の過剰な電圧が供給された記録はみられない、というのは注目される。

「Finally, examination of the flight recorder data from the JAL B-787 airplane indicate that the APU battery did not exceed its designed voltage of 32 volts」

全体の解析が終っていないので一部の情報ということではあるが、供給電力のほうは正常であったとすれば、バッテリー本体になんらかの問題があったことが強く示唆される。

ANA機のフライト・データ・レコーダーの電気系統記録ももう解析されているだろうが、どうだったのだろうか?

国土交通省は、21日航空法に基づきGSユアサに立ち入り検査に入ったという。(引用下記)


◆◆◆
NTSB Press Release
National Transportation Safety Board
Office of Public Affairs


--------------------------------------------------------------------------------

NTSB Provides Third Investigative Update on Boeing 787 Battery Fire in Boston

January 20
WASHINGTON - The National Transportation Safety Board today released a third update on its investigation into the Jan. 7 fire aboard a Japan Airlines Boeing 787 at Logan International Airport in Boston.

The lithium-ion battery that powered the auxiliary power unit has been examined in the NTSB Materials Laboratory in Washington. The battery was x-rayed and CT scans were generated of the assembled battery. The investigative team has disassembled the APU battery into its eight individual cells for detailed examination and documentation. Three of the cells were selected for more detailed radiographic examination to view the interior of the cells prior to their disassembly. These cells are in the process now of being disassembled and the cell's internal components are being examined and documented.

Investigators have also examined several other components removed from the airplane, including wire bundles and battery management circuit boards. The team has developed test plans for the various components removed from the aircraft, including the battery management unit (for the APU battery), the APU controller, the battery charger and the start power unit. On Tuesday, the group will convene in Arizona to test and examine the battery charger and download nonvolatile memory from the APU controller. Several other components have been sent for download or examination to Boeing’s facility in Seattle and manufacturer’s facilities in Japan.

Finally, examination of the flight recorder data from the JAL B-787 airplane indicate that the APU battery did not exceed its designed voltage of 32 volts.

In accordance with international investigative treaties, the Japan Transport Safety Board and French Bureau d'Enquêtes et d'Analyses pour la sécurité de l'aviation civile have appointed accredited representatives to this investigation. Similarly, the NTSB has assigned an accredited representative to assist with the JTSB’s investigation of the Jan. 15 battery incident involving an All Nippon Airways B-787. Both investigations remain ongoing.

Further investigative updates on the JAL B-787 incident will be issued as events warrant. To be alerted to any updates or developments, please follow the NTSB on Twitter at www.twitter.com/ntsb.

NTSB Media Contact:
Office of Public Affairs
490 L'Enfant Plaza, SW
Washington, DC 20594
(202) 314-6100
Kelly Nantel
kelly.nantel@ntsb.gov

http://www.ntsb.gov/news/2013/130120.html
◆◆◆

◆◆◆引用:MSNサンケイニュース

GSユアサに日米立ち入り 発煙元のバッテリー製造
2013.1.21 13:05

 全日空ボーイング787の重大トラブルで国土交通省は21日、発煙元となったバッテリーのメーカー、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ、京都市)を、航空法に基づき立ち入り検査した。

 米ボストン国際空港で起きた日航787の出火トラブルとの関連調査で来日している米連邦航空局(FAA)の担当者も、米国の法律に基づいて検査に同行した。

 GSユアサ広報室は「検査に入っているかどうかについてはコメントできない」としている。

 また国交省は、運輸安全委員会が分析している787のフライトレコーダー(飛行記録装置)の電気系統に関するデータを、同委員会から受け取ったことを明らかにした。トラブルの再発防止に生かすためだという。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130121/dst13012113060009-n1.htm
◆◆◆

a2f7be07.jpg

高松空港に緊急着陸したANA機のバッテリーと正常なものの内部。バッテリーがこのような状態になるのは、
@過充電がされた場合
@極端に大きな電圧等が掛かった場合
@バッテリーに欠陥があり内部でショートなどが起きた場合
だろうか。
当該バッテリーが本来の仕様を満たしていない所謂不良品だったということであれば、原因は単純で”一件落着”になるのだが?さてどうであろうか?
運航停止は経済的損失も大きく、一刻も早く運航再開を!というプレッシャーはさぞ大きいことだろうが、あらゆる可能性を排除することなく、結論を先急ぎせず、冷静で徹底した科学的な解析に基づく原因の究明が為されることが、将来の飛行安全確保には一番大切なのであろう。
Photo:JTSB/Wired.com

FAA AD 787 飛行停止命令

高松空港に緊急着陸したANA787は、前部E/Eベイにあるバッテリーが”火元”だったという。(

ボストンでのJAL787の火災発生(これは後部E/Eベイのバッテリー)に続く今回のANA機のバッテリー発火をうけて、FAA(米連邦航空局)は787型機のバッテリーの安全性が証明されるまで、同型機の飛行停止命令を本日発行している(airworthiness directive -AD- 耐空性改善命令)。

FAAの法的拘束力は米国内だけであるから、ADの具体的対象はUALが現在保有する6機の787だけであるが、各国の同様政府機関もFAA勧告に追随するので、事実上日本をはじめとして全787型機の飛行停止命令となる。(

塔載バッテリーの安全性が証明されるまで、787型機の運航は出来ないこととなった。

NTSB航空機委員会は主任調査官のLorenda Ward女史を日本に派遣し、日本の調査機関(JTSBー運輸安全委員会)の原因解明の支援に当たらせるという。
同女史はこれまでも航空機事故調査で何度か事故調査チームの主任を務め、事故原因の解明や、航空安全改善の提言も行っている、なかなかの手腕の人物であるようだ。
FAAとBoeingからの派遣者と一緒に金曜に日本入りの予定だという。

日本で起った事の調査主管は日本の当局になるので、ANAの件ではNTSB側は飽く迄補助の立場になろう。

原因究明は始まったばかりの段階なわけだが、”バッテリーの一部生産ロットに不良品があった”とか、”コードが不良品でした”とか、”組立て時に配線を間違いますた”とかであれば簡単な話であるが、現代の機器は自己診断機能を持ち、配線を誤っただけでは発火などはしない設計に普通はなっているし、原因が単純簡単なものである可能性は低そうである。

787の電気系統システムのデザインそのものに問題のルーツがあった場合、これの改善設計をし、テストを繰返して安全性の確認・証明をし、当局の承認を得て機体改修を行うとなれば、相当長期間(半年~1年等)787のグラウンドが続くことも考えられようか。

現段階で安易に憶測は出来ないが、これまでの流れからすると、その可能性は決して低くは無いだろうか。

原因がはっきり解れば、その対応策はいろいろなアプローチが考えられるのだから、先ずは原因究明に全力をということだろう。

787、ちょっと大変なことになってきたろうか。
某社に務める隣のおやぢ、今日はえらく渋い顔してたねえ~


◇◇◇
NTSB Press Release
National Transportation Safety Board
Office of Public Affairs

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NTSB Sending Investigator to Assist with Boeing 787 Battery Incident in Japan

January 16
WASHINGTON - The National Transportation Safety Board is sending an investigator to Japan to assist in the investigation of an emergency landing of an ANA Boeing 787 that occurred yesterday. Initial reports indicate that the flight crew received multiple messages in the cockpit concerning the battery and other systems that were affected, and also reported an odor in the cockpit and the cabin. The airplane subsequently landed, and passengers and crew evacuated via emergency slides.

The investigation is being led by the Japan Transport Safety Board (JTSB). The NTSB has designated investigator Lorenda Ward as the U. S. accredited representative to the JTSB's investigation and she will be accompanied by representatives from the FAA and Boeing. The U.S. team is expected to arrive in Japan early Friday morning. Further information regarding the investigation will be released by the JTSB.

NTSB Media Contact:
Office of Public Affairs
490 L'Enfant Plaza, SW
Washington, DC 20594
(202) 314-6100
Peter Knudson
peter.knudson@ntsb.gov

http://www.ntsb.gov/news/2013/130116.html
◇◇◇

◇◇◇
Press Release – FAA Statement
For Immediate Release
January 16, 2013
Contact: Laura Brown or Brie Sachse
Phone: laura.j.brown@faa.gov or brie.sachse@faa.gov

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As a result of an in-flight, Boeing 787 battery incident earlier today in Japan, the FAA will issue an emergency airworthiness directive (AD) to address a potential battery fire risk in the 787 and require operators to temporarily cease operations. Before further flight, operators of U.S.-registered, Boeing 787 aircraft must demonstrate to the Federal Aviation Administration (FAA) that the batteries are safe.

The FAA will work with the manufacturer and carriers to develop a corrective action plan to allow the U.S. 787 fleet to resume operations as quickly and safely as possible.

The in-flight Japanese battery incident followed an earlier 787 battery incident that occurred on the ground in Boston on January 7, 2013. The AD is prompted by this second incident involving a lithium ion battery. The battery failures resulted in release of flammable electrolytes, heat damage, and smoke on two Model 787 airplanes. The root cause of these failures is currently under investigation. These conditions, if not corrected, could result in damage to critical systems and structures, and the potential for fire in the electrical compartment.

Last Friday, the FAA announced a comprehensive review of the 787’s critical systems with the possibility of further action pending new data and information. In addition to the continuing review of the aircraft’s design, manufacture and assembly, the agency also will validate that 787 batteries and the battery system on the aircraft are in compliance with the special condition the agency issued as part of the aircraft’s certification.

United Airlines is currently the only U.S. airline operating the 787, with six airplanes in service. When the FAA issues an airworthiness directive, it also alerts the international aviation community to the action so other civil aviation authorities can take parallel action to cover the fleets operating in their own countries.

http://www.faa.gov/news/press_releases/news_story.cfm?newsId=14233
◇◇◇

Emergency airworthiness directive (AD) 2013-02-51」 (FAA Jan 16, 2013 pdf)

次からつぎと・・・787トラブル

ANAの787が高松空港に緊急着陸したという。

詳細は未だ不明なところや誤認も有得るのだろうが、宇部空港を離陸して間もなく(宇部ー羽田便)、バッテリー不具合の警告、異臭、操縦席に煙等が生じ緊急着陸する事態になったとの報道である。

よくもまあ、これだけ次から次とトラブルが、それも次々と重大度が増す事態が生じるものである。

ANAもJALも保有する787全機を運航停止したようだが、普通火のないところに煙は立たないので、飛行中の発火となれば”重大人身事故にあと一歩”であるから、これではとても旅客を乗せての商業運航など出来まい。

まるで悪い夢でも見ているような気持ちもして来るが、「Dreamliner」もいまや、「Nightmare」。

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緊急脱出シュート使用時に腰を痛める等で乗客数人が軽い怪我をしたようだが、客室床面から地上までは平均「WHEELS EXTENDED: 13 FT 6、 INWHEELS RETRACTED: 7 FT 6 IN」とあるので脚を出してる状態では4m以上の高さから慌てながら滑り落ちるのであるから、年寄り等体の固い人には辛いトコだろう。
Photo:Fox News


◇◇◇引用:読売新聞ネット

全日空787型機、高松に緊急着陸…機体から煙

16日午前8時25分頃、山口宇部発羽田行きの全日空692便が香川県上空を航行中、操縦室内で異臭がしたとして緊急事態を宣言、同8時47分に高松空港に着陸した。

 同便は米ボーイング社の最新鋭機「787型機」で運航しており、乗客129人は緊急脱出装置で全員が機外に避難した。機体内部で煙が出たとの情報もあり、運輸安全委員会は、事故につながる恐れのある「重大インシデント」に該当するとして調査官を派遣し、調査に乗り出した。

 高松市消防局などによると、乗客のうち数人が、滑り台状の緊急脱出用シューターで機外に避難する際、腰を打つなどして軽傷。高松空港は閉鎖された。

 国土交通省航空局によると、同便は離陸後まもなく不具合が発生した。操縦室内で異臭が立ちこめ、バッテリーに異常を示す計器表示が出たため、高松空港上空の高度約9100メートルで、乗員が管制官に緊急事態を宣言、高松空港に目的地を変更して緊急着陸した。

 787型機を巡っては米国で今月7日、日航が運航する同型機で、補助電源用バッテリーから出火するトラブルが発生。別の機体では左主翼から燃料漏れも見つかっているほか、全日空が運航する同型機でもブレーキの不具合が見つかるなど、トラブルが相次いでいる。

 航空局によると、同便は高松空港に着陸直後、管制官が前脚近くの機体内部から、うっすらと白い煙が上がっているのを確認したという。全日空によると、787型機は機体前部の「電気室」にメーンバッテリーが搭載されており、同局ではこのバッテリーに不具合が発生した可能性もあるとみて、全日空や製造元の米ボーイング社などと調査を進めている。

(2013年1月16日13時43分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130116-OYT1T00225.htm?from=main1
◇◇◇

787のバッテリー火災

NTSBのサイトに当局が原因調査中の、焼けた787のバッテリーの写真が掲載されている。(

8f79b842.jpg

Photo:NTSB

寸法やコネクター位置などは公表されている2010年6月のテクニカル・レポートと若干違いが見られるが、形状からすると、GSユアサ社の「LVP65-8」という型式系の航空機用バッテリーのようである。(

バッテリーはフランスの会社(Thales Avionics Electrical Systems )の電気系統システム(APU battery/charger system)に組み込まれて787に搭載されている。
充電側の電気系統にも安全機構は勿論あるだろうし、ユアサ・バッテリー側にも、
組電池内部にはLVP65電池に加えて,BMU(注:組電池監視装置)とコンタクタとが備え付けられている.BMUは常に電池電圧および組電池内部温度を監視し,異常を検出した場合には,充電を停止するよう充電器に信号を出力する機能を備えている.また,常に電池電圧を均等化するためにバランサー機能を備えている.これらの機能に加えて,航空機用電池に要求される高い信頼性を実現するために下記に示すような機能を追加した.
(1)組電池のいかなる故障も検知する自己診断機能
(2) 過充電などの異常モードに対する独立二重保護機能
(3) コンタクタを用いた組電池自身による異常充電遮断機能

と、多重の安全機構が組み込まれているようである。

幾重にも安全機構が組み込まれているのであり、火災が発生する以前であれば、「バッテリーから火が出ることなんて、起きやしませんよ」と一笑されていたところだろうが、今回実際バッテリーが焼けているので、多重にわたる安全機構のどこかに”抜け道”があったのであろう。

調査中で原因が未だ不明な現段階では、他の同型機や飛行中などにも同様の発火が生じる可能性を否定は出来ないだろうが、他にバッテリー関連での787のトラブルの報告は無いようであるし、今のところ運行のリスクは許容出来る範囲内というところだろうか。


先日ボストンで燃料を地上でベントしたJALの787(JA824J)は、成田に帰って整備中にまた燃料を不時ベントしたという。
前回とは違うバルブが開いたというから、なんとも”締りのない”機体なのだろうか。

整備中に燃料をベントしただけであれば、本来なら三面のベタ記事にもならないだろうが、時期だけに”あの787が”とか”また787が”と、マスコミに書かれることになる。

◇◇◇引用:朝日新聞ネット

日航787型機、また燃料漏れ 米から戻り成田で整備中

13日午後1時40分ごろ、成田空港で整備中だった日本航空のボーイング787型機の左の主翼から、燃料約100リットルが漏れた。米ボストンの空港で8日(現地時間)に燃料漏れを起こした機体で、日航が関連を調べている。

 日航によると、米国での燃料漏れの原因調査中に、整備士が燃料の抜き取り作業をしていたところ、本来緊急時にしか開かない燃料放出用のノズルから、突然燃料が漏れたという。整備士は離れた場所で監視しており、けがはなかった。客は乗っていなかった。

 ノズルにつながるバルブが誤作動し、開いたとみられるが、米国の燃料漏れで誤作動したのとは違うバルブだという。今回、操縦室の計器はバルブが閉じた表示のままで、日航はシステムトラブルの可能性も含めて原因を調査している。

 この機体は、米国から成田空港に戻ってから運航には使わず、整備中だった。

http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY201301130134.html
◇◇◇
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