Bandoalphaのらく書き帳

吞み代の溜ってしまった日本を逃れ、今は向こう岸に潜むおっさんのブツブツですぅ。 思い付いた時に思いついた事などのテキト~なメモ書きでやんす。 Faith Hope & Love ! Toshi Hino/桧野俊弘 メールは:Bandoalpha@msn.com                                             

2013年02月

ここまで解ったーJAL機バッテリー調査

2月7日に、NTSB委員長がJAL787機バッテリー火災の原因調査進捗状況の報告記者会見を再び行っている。

解ってきたことは、#6セルでショートが起り熱暴走が生起、その熱暴走が周りの他のセルにも伝播していったものという。バッテリー内は華氏500度以上に達していたものという。

どうして#6セルでショートが起きたのかを調査中だが、バッテリー外部からの物理的衝撃や電気的ショート(外部短絡)という要因は排除されるという。
可能性として考えられる原因は3点。

•Cell charging (セル充電の問題)
•Potential manufacturing issues (製造上の問題)
•Battery design considerations (設計上の問題)

このバッテリーは、リチウム・イオン・バッテリーのセル8個を直列接続で筐体内に配し、管理制御回路(BMU)を設けたものだが、筐体内で熱暴走が次々とセルからセルに伝播してゆく事態は設計上留意していた筈であり、ボーイング社のリスク評価でもセルからセルへと熱暴走が伝播することは起らず、火災も発生しないものとされていたという。

写真を見ると、8個のセルは”幕の内弁当”みたいにぎっしりと詰まった配置であり、セル間に熱の逃げ場は無く、BMUの回路基板も剥き出しで筐体内に一緒である。
素人目にも”なんだかなあ”という感じはするのだが、今回の火災発生であり、運航再開にあたってはバッテリーの設計変更は必須になるであろう。
ボーイングの対応チームも既に設計変更を考えているとのニュースも出ている。
Boeing Preps Redesign to Get 787 Flying Again」 -WSJ

TC(航空機型式証明)を認可したFAAの審査要領の妥当性も今後問われることになるだろう。

リチウム・イオン・バッテリーは787で事実上初めて旅客輸送機に使われるのであり、その特性上、設計・安全評価・審査には慎重であるべきであったところが、GSユアサは航空用は初めての開発でセンスに欠け、ボーイングは遅延しまくったスケジュールの回復に追われ、FAAは予算削減で新しい技術への審査能力に欠け・・・何れもが安全には些か”ゆるかった”ところがあったろうか。

NTSBの勧告がどのようなものになるかは未だ不明だが、マネージ出来ないような摩訶不思議なことがあるわけではないので、しっかりとした安全設計と評価・審査が為され、適正な整備運用がされれば、リチウム・イオン・バッテリーも航空用として十分に安全で実用に耐えるものというところだろうか。

Boeing 787 Battery Fire Investigative Update」-NTSB


787バッテリー交換

今回のJAL機やANA機でのバッテリーが火煙を上げたことと直接関係するものではないが、当該バッテリーに不具合の発生での交換が多いとのニュースは些か興味深い。

Boeing 787 Battery Was a Concern Before Failure」 The New York Times

At least 100 batteries failed on 787 fleet」 The Seattle Times

United Airlines, Japan's ANA replaced 787 batteries」 CBS News

NY Timesによれば、ANAの787フリートでは、昨年4月から12月の間に充電量異常低下などの不具合によるバッテリー交換が、7機で10件生じていたと言う。
ANAは現在17機の787を保有するようであるが、その殆どは2012年中にデリバリーを受けた機体である(下記)。
JALでも若干の交換があったという。

UALでも同様に複数のバッテリー交換があったとCBSは伝えており、いずれのエアラインも受領後間もない少数の787フリートであるので、些か異常なようだ。

Seattle Timesは関係者の話として、ボーイングでも100基以上150基近くのバッテリーがメーカーであるGSユアサに返されていると報じている。

GSユアサにはボーイングやエアラインから様々な不具合で160基ほどのバッテリーが返されているというが、生産が始まったばかりの機体であるから、バッテリーの実用性・信頼性には何かしらの問題があるのであろう。

787は機体電源がOFFの状態でも特定の整備作業では自動的にバッテリーからの電源が入るようになっているといい(給油時のゲージをSeaattle Timesでは例示している)、それは便利でいいのだが、何かで長時間所謂”点けっ放し”のままだと1時間ほどで”バッテリーが上がる”という。

リチウム・イオン・バッテリーというのは過充電は勿論、過放電でも熱暴走を起こすといい、GSユアサの当該バッテリーは過放電防止のために、容量の15%に充電量が低下した場合はバッテリーの機能を停止してしまう安全装置が付いていると言う。

この安全装置が作動した場合はバッテリーの機能が停止し、放電は勿論充電も不能となり”リセット”する為には”メーカ送り”になるという。

過充電に対しても異常充電遮断機能などの安全装置が勿論備わっている(航空機用大形リチウムイオン電池の開発)。

FAAでは787でのリチウム・イオン・バッテリーの採用にあたっての特別条件として、下記3点を重要事項として上げているので、これらへの対策としてバッテリー自体に、最も確実であろう”最後の防波堤”として、安全対策を備えたものであろう。

◇◇◇
1. Overcharging

In general, lithium ion batteries are significantly more susceptible to internal failures that can result in self-sustaining increases in temperature and pressure (thermal runaway) than their nickel-cadmium or lead-acid counterparts. This is especially true for overcharging, which causes heating and destabilization of the components of the cell, leading to formation (by plating) of highly unstable metallic lithium. The metallic lithium can ignite, resulting in a self-sustaining fire or explosion. Finally, the severity of thermal runaway from overcharging increases with increasing battery capacity, because of the higher amount of electrolytes in large batteries.

2. Over-Discharging

Discharge of some types of lithium ion batteries beyond a certain voltage (typically 2.4 volts) can cause corrosion of the electrodes of the cell, resulting in loss of battery capacity that cannot be reversed by recharging. This loss of capacity may not be detected by the simple voltage measurements commonly available to flightcrews as a means of checking battery status. This is a problem shared with nickel-cadmium batteries.

3. Flammability of Cell Components

Unlike nickel-cadmium and lead-acid batteries, some types of lithium ion batteries use liquid electrolytes that are flammable. The electrolytes can serve as a source of fuel for an external fire, if there is a breach of the battery container.

Special Conditions: Boeing Model 787-8 Airplane; Lithium Ion Battery Installation
◇◇◇

充電器や仏タレス社の機体電気系統制御システムにも安全対策は備わっているだろうが、それらが破綻した場合でも、バッテリー本体の安全装置が働けば熱暴走に至る事態は生じないわけであり、”熱暴走に至る事態は実運航上有り得ない”ものとしてFAAも認可し、私のようなその他大勢の中の人間もそう信じていたのだが・・・

出入力の外部異常に対しては幾重もの相当な備えがあるとしても、バッテリーの内部から異常が生じた場合には違う話になるだろうから、NTSBが他所の研究所の援けも借りてバッテリー内部の精密検査を行なっているというのも理由のあるところであろう。

万全に見えても、バッテリーから火煙が現実に上がっているので、「あちゃあ!」と言う安全の抜け穴が何処かにあったわけだが、それが何処なのかはまだ解らない。

◇◇◇
ANA787現有フリ-ト
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(S/N&L/N) (登録記号) (初飛行)  (ANAデリバリー)
34488/8   JA801A  2011/09/01  2011/09/27
34497/24  JA802A  2011/09/24  2011/10/15
34485/7   JA803A  2011/09/01  2012/08/23
34486/9   JA804A  2011/01/19  2012/01/16
34514/31  JA805A  2011/12/05  2012/01/04
34515/40  JA806A  2012/02/07  2012/03/29
34508/41  JA807A  2011/12/19  2012/01/13
34490/42  JA808A  2012/04/01  2012/04/16
34494/47  JA809A  2012/05/09  2012/06/21
34506/48  JA810A  2012/05/20  2012/06/25
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34495/83  JA818A  2012/12/06  Due

AIRFLEETS.NET」による。
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