3月は2年前の11日に東北で大津波の大災害があった月なわけだが、もう2年も経つのかとの思いと、わが地元の宮城県はじめ東北沿岸の被災地の様子など伺うと、「さっぱり復興が進んでいない!」ことに些か驚く。
いまだに仮設住宅に住んでいる人も多いのだという。
東北線の列車から長町駅前に設置された仮設住宅エリヤを眺めることが出来たのだが、プレハブの長屋作りはまあ良いとして、広くも無い敷地目一杯に設置しているので長屋棟と長屋棟間の通路が非常に狭く、前後左右ともに圧迫感があり、開放感のまったく無い作りである。
勿論贅沢はいえぬだろうが、飽く迄も「仮設住宅」であるから、本来数ヶ月の仮の居住のものであり、1年以上も住むとなれば、これはもう本人にとっては”仮設”ではなくなろう。
ああゆう所に1年以上も住んでいたら、普通の人間でも気が滅入り、やる気を失くすのに十分と思うが、まして、自分の住み家を流されて全てを失い、家族に犠牲者でもいたならば。
津波で全滅した東北沿岸部の市町では、復興するにあたって大きな津波防波堤を作るという話を聞くが、どうなのだろうか。
ギネスブックに載るような巨大な防波堤を作ってみたところで、更に大きな津波が将来は襲ってこよう。
堤防というのは一箇所決壊すれば水が入ってきて仕舞うものである。
東北だけでなく日本列島何処でも津波が襲来する可能性はあるわけだが、日本列島を大きな防波堤で全て囲うことも現実的な話ではあるまい。
土建会社に銭が回って国分町のネオンが妖しく輝きを増すのも悪くはないのだが、巨大な防波堤みたいなものは必要最低限に抑え、寧ろ町区画や道路などを防災避難をよく考慮したものとし、警報や救助などの社会システムを整えて、海が怒った時には”逃げる”ことを第一として、自然を力で抑え込もうとせずに海と共存する生活基盤というのがよいのではなかろうか。
海岸や港の町なのに、海が見えず、目の前には巨大なコンクリートの壁がある、そんな古里は御免願いたい。
最も衝撃的だったのは、福島の東電原子力発電所の事故である。
先日WHOが、福島原発事故での放射性物質漏出による健康障害発生の予測を出していたが(注)、日本周辺の国は勿論、東京など福島以外のところや、福島県であっても原発周辺以外では癌の発生増などの目立った影響は表れないだろうとしている。
吹き溜まりのホット・スポットとか、余程特異な状況でもないかぎり、そんなところだろうか。
WHO Report: 「Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan earthquake and tsunami, based on a preliminary dose estimation」
福島原発周辺の汚染地帯というのは、これは話は別である。
放射線というのは生体細胞を突き抜けていくわけで、その時にDNAナントカを傷つけるという。(参考)
人間の体には自然治癒の回復能力があるが、それを超えて傷ついた細胞が増えていった場合、癌細胞になるという。
また発育不良や免疫力の低下などの癌以外の影響もあるとされる。
発育などとうに終わった年寄りにはあまり影響は考えられず、発育盛りの幼少者が最も放射線の影響を被りやすいことになる。
WHOの予測では
「All Solid Cancers」というから「固形癌」所謂普通一般の「癌」については、女子幼少者の場合生涯での発生率は4%増加すると予測している。
女子幼少者の生涯での固形癌発生率は29%というから、これの4%増加であり、29%が30%となることになる。
通常より100人に一人増えるというところか。
「Breast Cancer」乳癌は、女子幼少者で6%増加すると予測。
乳癌の通常の生涯発生率は5.53%というから、これが5.9%弱に上がるというところか。
「Leukaemia」血液の癌「白血病」だろうか。男子幼少者で7%増加との予測。
男子幼少者の白血病生涯発生率は0.6%というから、0.64%ほどになる予測か。
「Thyroid Cancer」甲状腺癌だろうか。女子幼少者の生涯発生率が70%上昇すると予測。
女子幼少者の甲状腺癌生涯発生率は0.75%というから、1.3%弱に上がるというところだろうか。
このレポートを読み通したわけではないが、福島原発周辺の幼少者では、100人に2人くらいは今回の原発事故により生涯で癌を患うことになる可能性が予測されるというところだろうか。
このWHOレポートは日本政府の公表汚染データなどを基にした飽く迄「予測」の数値であり、チェルノブイリの時もWHOの予測は当たらなかったという話も聞くので、”実測値”がどうなるかはこれからの話である。
除染や避難、健康管理などを進めて、汚染地域の幼少者などを社会が守ってやる体制を作れれば、放射能汚染による健康被害者の発生を極限することも可能だろうし、又その逆の結果になる可能性もあることになる。
居住地域の除染は可能であっても、山間部に降下した放射性物質の除染は出来ないだろうから、これらは地中地下水などに潜ったものは一部は何処かでまた地上に出てくるだろうし、自然界の汚染というのは回りまわって結局は人間に影響してくるものであろう。
山野に放射性物質が存在している以上、人里に流れてきて”溜り”のホットスポットの発生も考えられるだろうし、そうゆう所で泥んこになって遊ぶのも又幼少者なのである。
フクシマの汚染地帯ではこれから先、放射能との長い戦いが続くことになる。
原子力発電が安全なものであるなら、大いにやればよいわけだが、安全が保障できないのであれば原子炉の運転というのは当然出来るものではない。
安全に100%ということは無いので、万一原子力事故が発生した場合でも周辺住民の避難・防御などに十分な事前の準備がなされて、まず何が起きても大丈夫と納得の出来るものであればよいのだが。
福島原発の事故をうけて、原発施設の30km圏内の自治体は防災計画を策定するようになったようだが、なかなか進んではいないという。
米国では原発事故発生のさいは取り敢えず50マイル(80km)離れろという指導であるが、日本で80km圏とすると福島原発では福島市や郡山市などは圏内だろうし、宮城県の女川原発でも80km圏なら仙台市が入ってしまい、いずれも100万人以上の避難者を考えねばならなくなる。
女川原発などは牡鹿半島の根元にあるので、重大事故で原発周辺が通行不可となった場合は、鮎川や黒崎など半島の住民は退路を絶たれるから船舶やヘリなどでの避難しか方法はなくなるであろう。
船舶や航空機を大量動員して優先順位を決めて迅速・整然と避難する必要がある。対策は自治体で出来る能力を超えていよう。
日本列島の地理を考えれば、同じような状況の原発立地は日本各地にあることだろう。
この日本で原発の安全を確保できる手段が保証され得るのか?という問題の検証はスルーにして、原発運転の必要性だけが、サンケイや読売などの新聞社説で声高に力説されているのも、奇妙な思考の話である。
電力のピークというのは真夏であるから、生産設備の稼動ではなく、要はビルや家庭のエアコンである。
原発が立地するような地方の海辺の町村では真夏でもエアコンなぞ必要としないから、都心に林立するコンクリート・ジャングルのビルやビッシリと建て混んだ都会の住宅が必要とするものである。
エアコンを使えば交換熱を戸外に放出するから、都会ではお互いますますエアコンが必須になる。
原発というのは、田舎の子供の放射線被曝のリスクを踏み台に、都会の人間が”涼しい顔”でひと夏を過ごしたい話ということになる。
発電量は原発なしでも何とか夏のピーク時にも間に合っていた。
火力設備を効率のよい新しいものに多少更新すれば、日本の必要電力量は50基の原発なしでも十分余裕であろう。
電力事業の自由競争化をすすめ、省電力型エアコン等の開発や購入を促進してやる施策をとれば、さらに電力余裕も出、国民の購買力も上がることであろう。
”電力の安定供給”や”質の高い電力の供給”の謳い文句の下、どれほどの国富が原発事業に浪費されていたことだろうか。
原子力発電事業には年間5千億の税金が投入され、5百億の”教育研究支援・宣伝費”が電力会社から直接間接にマスコミや学者などの、大きな社会的影響力を持つところに打たれる仕組みを巧みに作り上げてきた。
原発を動かさないと、金は回らない。
アフリカの国のように、餓死者が出るようなところでは、将来のリスク云々よりも兎も角今、リスクを飲めば安く発電が可能な原発で電力供給を!が優先するところもあるだろうが、欧米諸国では殆どが原子力発電には一定の距離を置いている。
原発は万一の場合のリスクが巨大であり、万一の事態の発生が否定できないからであろう。
技術的にも原発は北朝鮮でさえ作っているものであり、原発が最先端の技術で他の産業界への波及効果も大きいというものでもない。
コスト的にも、原発は火力とほぼ同等との試算が以前出ていたが(参考)、住民の避難対策等十分な安全対策を考慮したら、発電コストは火力発電よりも割高なものとなるであろう。
日本が将来核兵器を保有し、強盛大日本国となる道筋をつけておきたい、という人も居るかも知れないが、幸いなことに、使用済み核燃料の処理施策がうまくいっておらず、数百発の核弾頭に十分な量のウランもプルトニウムも原発施設内に山となって置いてある。
原発関連の”あぶく銭”が回ってくることのケッシテ無いおっさんの身としては、日本で原発を推進することの意味がわからない。
いまだに仮設住宅に住んでいる人も多いのだという。
東北線の列車から長町駅前に設置された仮設住宅エリヤを眺めることが出来たのだが、プレハブの長屋作りはまあ良いとして、広くも無い敷地目一杯に設置しているので長屋棟と長屋棟間の通路が非常に狭く、前後左右ともに圧迫感があり、開放感のまったく無い作りである。
勿論贅沢はいえぬだろうが、飽く迄も「仮設住宅」であるから、本来数ヶ月の仮の居住のものであり、1年以上も住むとなれば、これはもう本人にとっては”仮設”ではなくなろう。
ああゆう所に1年以上も住んでいたら、普通の人間でも気が滅入り、やる気を失くすのに十分と思うが、まして、自分の住み家を流されて全てを失い、家族に犠牲者でもいたならば。
津波で全滅した東北沿岸部の市町では、復興するにあたって大きな津波防波堤を作るという話を聞くが、どうなのだろうか。
ギネスブックに載るような巨大な防波堤を作ってみたところで、更に大きな津波が将来は襲ってこよう。
堤防というのは一箇所決壊すれば水が入ってきて仕舞うものである。
東北だけでなく日本列島何処でも津波が襲来する可能性はあるわけだが、日本列島を大きな防波堤で全て囲うことも現実的な話ではあるまい。
土建会社に銭が回って国分町のネオンが妖しく輝きを増すのも悪くはないのだが、巨大な防波堤みたいなものは必要最低限に抑え、寧ろ町区画や道路などを防災避難をよく考慮したものとし、警報や救助などの社会システムを整えて、海が怒った時には”逃げる”ことを第一として、自然を力で抑え込もうとせずに海と共存する生活基盤というのがよいのではなかろうか。
海岸や港の町なのに、海が見えず、目の前には巨大なコンクリートの壁がある、そんな古里は御免願いたい。
最も衝撃的だったのは、福島の東電原子力発電所の事故である。
先日WHOが、福島原発事故での放射性物質漏出による健康障害発生の予測を出していたが(注)、日本周辺の国は勿論、東京など福島以外のところや、福島県であっても原発周辺以外では癌の発生増などの目立った影響は表れないだろうとしている。
吹き溜まりのホット・スポットとか、余程特異な状況でもないかぎり、そんなところだろうか。
WHO Report: 「Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan earthquake and tsunami, based on a preliminary dose estimation」
福島原発周辺の汚染地帯というのは、これは話は別である。
放射線というのは生体細胞を突き抜けていくわけで、その時にDNAナントカを傷つけるという。(参考)
人間の体には自然治癒の回復能力があるが、それを超えて傷ついた細胞が増えていった場合、癌細胞になるという。
また発育不良や免疫力の低下などの癌以外の影響もあるとされる。
発育などとうに終わった年寄りにはあまり影響は考えられず、発育盛りの幼少者が最も放射線の影響を被りやすいことになる。
WHOの予測では
「All Solid Cancers」というから「固形癌」所謂普通一般の「癌」については、女子幼少者の場合生涯での発生率は4%増加すると予測している。
女子幼少者の生涯での固形癌発生率は29%というから、これの4%増加であり、29%が30%となることになる。
通常より100人に一人増えるというところか。
「Breast Cancer」乳癌は、女子幼少者で6%増加すると予測。
乳癌の通常の生涯発生率は5.53%というから、これが5.9%弱に上がるというところか。
「Leukaemia」血液の癌「白血病」だろうか。男子幼少者で7%増加との予測。
男子幼少者の白血病生涯発生率は0.6%というから、0.64%ほどになる予測か。
「Thyroid Cancer」甲状腺癌だろうか。女子幼少者の生涯発生率が70%上昇すると予測。
女子幼少者の甲状腺癌生涯発生率は0.75%というから、1.3%弱に上がるというところだろうか。
このレポートを読み通したわけではないが、福島原発周辺の幼少者では、100人に2人くらいは今回の原発事故により生涯で癌を患うことになる可能性が予測されるというところだろうか。
このWHOレポートは日本政府の公表汚染データなどを基にした飽く迄「予測」の数値であり、チェルノブイリの時もWHOの予測は当たらなかったという話も聞くので、”実測値”がどうなるかはこれからの話である。
除染や避難、健康管理などを進めて、汚染地域の幼少者などを社会が守ってやる体制を作れれば、放射能汚染による健康被害者の発生を極限することも可能だろうし、又その逆の結果になる可能性もあることになる。
居住地域の除染は可能であっても、山間部に降下した放射性物質の除染は出来ないだろうから、これらは地中地下水などに潜ったものは一部は何処かでまた地上に出てくるだろうし、自然界の汚染というのは回りまわって結局は人間に影響してくるものであろう。
山野に放射性物質が存在している以上、人里に流れてきて”溜り”のホットスポットの発生も考えられるだろうし、そうゆう所で泥んこになって遊ぶのも又幼少者なのである。
フクシマの汚染地帯ではこれから先、放射能との長い戦いが続くことになる。
原子力発電が安全なものであるなら、大いにやればよいわけだが、安全が保障できないのであれば原子炉の運転というのは当然出来るものではない。
安全に100%ということは無いので、万一原子力事故が発生した場合でも周辺住民の避難・防御などに十分な事前の準備がなされて、まず何が起きても大丈夫と納得の出来るものであればよいのだが。
福島原発の事故をうけて、原発施設の30km圏内の自治体は防災計画を策定するようになったようだが、なかなか進んではいないという。
米国では原発事故発生のさいは取り敢えず50マイル(80km)離れろという指導であるが、日本で80km圏とすると福島原発では福島市や郡山市などは圏内だろうし、宮城県の女川原発でも80km圏なら仙台市が入ってしまい、いずれも100万人以上の避難者を考えねばならなくなる。
女川原発などは牡鹿半島の根元にあるので、重大事故で原発周辺が通行不可となった場合は、鮎川や黒崎など半島の住民は退路を絶たれるから船舶やヘリなどでの避難しか方法はなくなるであろう。
船舶や航空機を大量動員して優先順位を決めて迅速・整然と避難する必要がある。対策は自治体で出来る能力を超えていよう。
日本列島の地理を考えれば、同じような状況の原発立地は日本各地にあることだろう。
この日本で原発の安全を確保できる手段が保証され得るのか?という問題の検証はスルーにして、原発運転の必要性だけが、サンケイや読売などの新聞社説で声高に力説されているのも、奇妙な思考の話である。
電力のピークというのは真夏であるから、生産設備の稼動ではなく、要はビルや家庭のエアコンである。
原発が立地するような地方の海辺の町村では真夏でもエアコンなぞ必要としないから、都心に林立するコンクリート・ジャングルのビルやビッシリと建て混んだ都会の住宅が必要とするものである。
エアコンを使えば交換熱を戸外に放出するから、都会ではお互いますますエアコンが必須になる。
原発というのは、田舎の子供の放射線被曝のリスクを踏み台に、都会の人間が”涼しい顔”でひと夏を過ごしたい話ということになる。
発電量は原発なしでも何とか夏のピーク時にも間に合っていた。
火力設備を効率のよい新しいものに多少更新すれば、日本の必要電力量は50基の原発なしでも十分余裕であろう。
電力事業の自由競争化をすすめ、省電力型エアコン等の開発や購入を促進してやる施策をとれば、さらに電力余裕も出、国民の購買力も上がることであろう。
”電力の安定供給”や”質の高い電力の供給”の謳い文句の下、どれほどの国富が原発事業に浪費されていたことだろうか。
原子力発電事業には年間5千億の税金が投入され、5百億の”教育研究支援・宣伝費”が電力会社から直接間接にマスコミや学者などの、大きな社会的影響力を持つところに打たれる仕組みを巧みに作り上げてきた。
原発を動かさないと、金は回らない。
アフリカの国のように、餓死者が出るようなところでは、将来のリスク云々よりも兎も角今、リスクを飲めば安く発電が可能な原発で電力供給を!が優先するところもあるだろうが、欧米諸国では殆どが原子力発電には一定の距離を置いている。
原発は万一の場合のリスクが巨大であり、万一の事態の発生が否定できないからであろう。
技術的にも原発は北朝鮮でさえ作っているものであり、原発が最先端の技術で他の産業界への波及効果も大きいというものでもない。
コスト的にも、原発は火力とほぼ同等との試算が以前出ていたが(参考)、住民の避難対策等十分な安全対策を考慮したら、発電コストは火力発電よりも割高なものとなるであろう。
日本が将来核兵器を保有し、強盛大日本国となる道筋をつけておきたい、という人も居るかも知れないが、幸いなことに、使用済み核燃料の処理施策がうまくいっておらず、数百発の核弾頭に十分な量のウランもプルトニウムも原発施設内に山となって置いてある。
原発関連の”あぶく銭”が回ってくることのケッシテ無いおっさんの身としては、日本で原発を推進することの意味がわからない。