Bandoalphaのらく書き帳

故郷離れてはるばる千里、ひとつ山越しゃ他國の星がぁ・・・昭和の終末高齢者! 思い付いた時に思いついた事などのテキト~なメモ書きらく書き帳ですぅ。 桧野俊弘 ご意見メールは:Bandoalpha@msn.com

2015年01月

惨殺

ISISが拉致拘束していた後藤氏を惨殺する様子のビデオを流したと言う。

これで、湯川氏、後藤氏、拘束されていた2名の邦人共にISISに惨殺されたことになろう。

後藤氏解放にむけては、日本政府もヨルダン政府と共に相手と交渉していたようだが、「テロリストとの取引き」というのは、問題の根本的解決にはならず、却って「可燃物に燃料をあたえる」結果を招くことになるから、ならぬ話であったろう。

後藤氏の妻の声明()を見ると、ISIS側とemailなどで交信があったことが解るが、後藤氏自身もISIS側との交信ルートは持っていたのだろうし、ISIS支配地域に入るに当っては、自身の安全確保に十分な保障が得られていると考えた上での行動だったのであろうが、結果は最悪のものとなって仕舞ったようだ。

後藤氏は、「湯川氏を助けるために(ISIS支配地域に)行った」との報道も見るのだが、さすがに自分がISISを説諭説得して湯川氏を解放出来るとは思わなかったろうし、解放の条件等ISISがどう考えているのかも不明な状況であったろうから、やはり湯川氏の状況なども含めて、取材のためにISIS支配地域に入ったものであろう。

内戦の続くシリアは、現地日本大使館も2011年3月には閉鎖されており(隣国ヨルダンの大使館内に臨時事務所設置)、報道関係者への注意喚起も9回出されていた”渡航禁止国”であり、大手報道機関の記者が入ったのではその会社の姿勢が問われるだろうが、独立したフリーランス相手であれば、持ち込んで来た記事を買うだけの行為となろうか。

フリーランスの記者にしてみれば、大手が入らないいわゆる”穴場”であり、取材記事が高く売れるということになるのだろう。

後藤氏は、右肩にはカメラ、左肩には命の危険を掛けた仕事であったろうか。

今回の一連のISISの声明を眺めると、身代金要求が無理筋と知ると、囚人との交換への要求切り替えやその説明など、なかなか良く日本の政治・国内事情をリアルタイムで踏まえているようである。

ISIS組織内に、日本の政治・国内事情に精通した日本語堪能な者がいるようにも見えないので、どうも日本国内に、ISISへの情報提供・アドバイスをしていた者がいるように思える。


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ISISは、後藤氏を「メッセンジャー・ボーイ」に仕立て上げ、散々利用した挙句、結局惨殺した。



人質交換

後藤氏を介してISISが要求している後藤氏と交換相手の、「Sajida Mubarak Atrous al-Rishawi」と言うのは2005年に起きた、ヨルダンの首都アンマンでの連続ホテル自爆テロ実行犯人の一人という。

「Radisson SAS」「Grand Hyatt」「Days Inn」の3軒のホテルでほぼ同時に自爆テロが決行され、運悪くそこに居合わせた計60名が殺されている。
「Radisson SAS」ホテルでは丁度結婚披露宴があり、そこで自爆テロが決行され、花婿や花嫁の父など36名が殺され最も多くの死傷者を出している。(Wiki

このRadisson SASホテル自爆テロ実行犯がSajidaとその夫だったといい、Sajidaは彼女の「ハラ巻き爆薬」の点火に失敗し、逮捕されている。

ISISにしてみれば、”十字軍に対してジハードの聖戦を決行しイスラムの鉄槌を下した、聖戦の革命的英雄女傑”と言ったところにでもなるのだろうか。

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「Sajida al-Rishawi」革命戦士のジハード装束

今回人質交換に応じることとしたヨルダン政府はSajidaとの交換相手として、昨年12月24日の有志連合空軍によるISIS拠点攻撃時に、乗機のF-16の墜落によりRaqqa近郊でISISに拘束された同国空軍パイロットを指定している。(CNN

ISISはこのF-16を撃墜したものとしているが、米軍は撃墜された事実は無く機体の故障によるものとしている。

戦闘機や、高高度を狙えるような高性能SAM(地対空ミサイル)をISISが運用しているという話は未だ聞かないので、撃墜したとすればMANPADS(携行対空ミサイル)やAAA(対空火器)などによることになるが、これらの実用上の有効射撃高度はいずれも1万ft以下であり、出撃する有志国空軍もこれらに対策もしているので、被弾撃墜の確率は高くはない。

このヨルダン空軍ファイター・パイロットは、2006年にOR(Operation Ready)になった26歳の空軍中尉(1st Lt)だそうだが、捕虜に関する国際条約など気にもせずイスラム原理法を騙って虐殺、生首を掻くISISが相手であるから、放って置けば結果は明らかである。

後藤氏も交換対象に入ってはいるのだろうが、ヨルダン政府が自国民である空軍の中尉を交換のプライオリティーとするのは当然であろう。

今年1月1日には、米軍SF(Special Force)が、Raqqa近郊のISISの拉致拘束者収容施設と思われる処を急襲し、このヨルダン空軍中尉はじめ人質の奪還を試みたと言うが、ISISの激しい抵抗に遭い人質奪還作戦は失敗したという。
この作戦にはヨルダン軍SFも参加していたといわれる。

昨年7月にも米軍SFはISIS人質奪還作戦を行ったというが、これも失敗に終っている。(Washington Post

相手組織内のいわゆる内通者の諜報員情報、実行部隊偵察班、奪還突入部隊の奇襲、支援部隊による直接・間接の支援、其々の任務が完璧に達成されなければ奪還作戦の成功は覚束なく、失敗した場合には内部諜報員情報などは途絶えてしまうことになる可能性も高く、「人質奪還作戦のチャンスは一度」ということになる。

特殊部隊投入による人質奪還というのは、可能性はあるのだろうが、かなり難しいもののようだ。

1月1日時点ではこの空軍中尉の生存は確認されていたことになろうが、その後の状態は不明であり、ヨルダン政府がISISに同中尉生存の証拠を先ず示せ、というのも道理である。

後藤氏の2番目の最期のメッセージ時に同中尉の写真を持ってはいるのだが、何時撮影されたものかは判らない。
Youtubeビデオ -後藤氏は初めのものより声が力強くなっており、恐怖心といったものは看取出来ず、落ち着きすら感じられる。

2番目の最期のメッセージの次の、後藤氏の3番目のメッセージ(Youtube)での指定日の日没も過ぎてしまったことであり、先がいささか不透明になってきたろうか。

人質

自民党は「イスラム国」の呼称を、「ISIL」もしくは「いわゆるイスラム国」に表現を統一することにしたという。(産経

「イスラム国」と聞くと、なにかそう言う国家が厳然と存在するような印象を受けるが、彼らは組織であって国家としての躰をなしてはいない。

自分たちに都合よくイスラム経典を歪曲解釈し、非人道犯罪行為の正当化に利用している、「匪賊」「賊徒」あるいはやはり「テロリスト」というべき存在である。

こちらのニュースでは「ISIS(アイシス)」と言う表現だが、日本の報道各社も誤解を与えないような表現を考えるべきだろうか。

「ISIL」は、拉致拘束した邦人と、ヨルダンで収監中の爆弾テロ犯人との交換を要求しているが、犯人たちの土俵に乗って、ヨルダン政府にISIL仲間の釈放交換などを軽々しく働きかけるべきではあるまい。

この爆弾テロ犯が自由になれば、どこかで又無垢の一般市民に多くの犠牲者を出すことになる。

犯人のISILグループが、この交換成功に味をしめれば、さらなる邦人の拉致拘束を誘発することになり、第2、第3の「ゴトー」の人質出現を見ることになる。

ISIL犯行グループの土俵に乗せられて交渉することなく、邦人を拉致拘束し、これに危害を加えた場合には、その何倍かの処罰を与える姿勢を明らかにし、日本人に対するこのような行為が「割に合わない」ことをISILにはっきりと自覚させることだろう。


Islamic State of Iraq and the Levant」 -Wikipedia


犯罪者は処罰されねばならない

ISIS(イスラム国)に拉致拘束されていた2名の邦人であるが。

湯川氏の処刑された遺体の写真を持った、後藤氏のメッセージが流されたと言う。

自分の始めた民間軍事会社の事業展開のために、リスクは承知で紛争地に出掛けたものであろうが、湯川氏はISIS拘束時に武器を保持していたというが、本人のビデオからはカラシニコフのハンドリングさえぎこちない様子が窺える。

いささか可哀想な人は、最悪の可哀想な結果となったようだ。

後藤氏の英語のメッセージ(参考:朝日新聞ネット)は、「アベ、お前がハルナ(湯川氏)を殺した。もう身代金は要求しない。ヨルダンで収監されている爆破テロ犯と自分との交換を要求する。」というものである。

後藤氏本人の思想信条なのか、知人が目の前で残虐に殺害され脅かされてのことか、或いは妻子へのメッセージを出せるとの甘言に釣られたものかは知る由も無いが、この場に及んで、自国の政府の責任を論うさまは、いかにも見苦しい。

ISIS(イスラム国)と言うのは、自分たちの非人道残虐行為の正当化のために、宗教のイスラム経典を都合よく歪曲して利用しているに過ぎない犯罪者賊徒のテロ集団であり、かつて日本であったオウム真理教と変わるところはあるまい。

「日本の支援は人道支援であり、日本はイスラム国の敵ではないことを強調せよ」との論調が見られたが、笑止である。

ISISは、「中立なのね」と言ってテロの対象にはしないような甘い集団ではない。

全面的理解者となって、ISISの走狗となり使い走って賊徒の絶対的支援者となるか、或いは、有志・友好諸国と共にこのテロ集団ISISと闘うのか、のどちらかの選択しか現実には有得まい。

無法地帯で日本人を残虐に殺害した犯罪者は、日本が裁き処罰しなければならない。


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極めて残虐非道な犯罪行為である。  Photo:ネットより

日本試練のとき

ISIS(イスラム国)が拉致拘束した2名の日本人のビデオを流して、US$200M(昨今の為替レートで240億円弱か)をISISに支払うか、さもなくばこの2名を殺害するのだという。

ISISが英米などの拉致拘束者を殺害前にビデオで流し、英米などのISIS攻撃を非難して民間人殺害の”正当な”理由とするものはこれまでもあったが、ISISが公然とビデオで身代金の要求をしているものは初めてという。

かつて日本はダッカ事件(Wiki)で犯人の要求通りに600万ドル(当時の為替レートで16億円という)の身代金等を犯人に支払うという醜態を世界に曝しているので、「日本なら、身代金を支払いそうだ」とISISは踏んでいるのだろうか。

ISISはこれまでに欧米などのジャーナリストや、現地の人道支援活動従事者などを拉致拘束し殺害している。
支配地域住民への非人道的行為があるといわれ、イラクやシリア兵捕虜などを大量殺戮したり、スパイ容疑者を少年に射殺させるなど、些か異常な殺戮癖が窺える集団である。
国連などで世界から批難され、「テロリスト集団」と呼ばれるだけのことはある。

もしも日本が身代金をISISに支払うことがあれば、それを活動資金としてISISは、さらに多くの無垢の人たちに危害を加えてゆくことになる。

日本国憲法には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあり、現代の日本人は戦うことを放棄してしまったようであるが、人間や国家は時に、平和を嘲り不正で信義を信頼出来ぬ相手に対しては、戦って安全と生存を保持することも必要である。

戦いというものは、「我が血肉を削いで、相手の骨を絶つ。」ものである。

ISISの行為は認めないとの立場をはっきり示し、若し2名の拘束日本人に危害を加えることがあれば、日本は直接の武力行使によるISIS討伐は出来ない事情であれば、$200Mかその何倍かのISIS討伐資金をISIS討伐参加国に提供する旨を表明し実行してはどうか。

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後藤健二氏は現在活躍中のフリーランスのジャーナリストといい、自分の”職場”である現地事情には明るかったようだが、今回湯川氏救出の目的もあってISIS支配地域に入り、拘束されたのだという。
本人には万一の場合の覚悟があっての行動だったろうが、結果からすれば暴虐なISIS相手に些か甘かったということになるだろうか。

湯川氏というのは、「民間軍事会社(PMC Japan)」の設立者なのだという。
紛争地での要人護衛などを提供する会社というフレコミのようだが、社長からして真っ先に拉致拘束されていたのでは。
欧米にPMCというのがあるようだが、紛争地の要人護衛では小火器武装なので、自動小銃などの小火器の取り扱いや小部隊の戦術に習熟していることが必須であり、構成員は特殊部隊などの実戦経験のある元軍人達のようである。
軍や警察特殊部隊への戦術教育も提供するので、教官レベルの素養が要求される。
湯川氏は、特殊部隊どころか、自衛隊一般隊員としての起居の経験もないというから、どうゆう心算の人なのか。

ちなみにこのISISのビデオは、室内スタジオで撮影した人物ビデオに、後ろの自然風景を組み合わせたものである可能性が高い。
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