ソーラーパドルの展開の様子など興味深い。前回の光明星3号2号機はパドルは展開しなかったと聞くが、今回はどうだったのか?送信が全く無いところをみるとやはりソーラーパドルは展開しなかった可能性が高いだろうか。(Youtube-KCTV)
発射体も前回の「銀河ー3」と今回の「光明星」ロケットは同じものである。前回から3年以上も経過しているのでマイナーなところは種々改良はされているのだろうが、基本的には同一である。
同じシステム構成で同じことをやり、同じように失敗している。北朝鮮にとって衛星の制御技術というのはハードルが高いもののようである。
初歩的な衛星の制御も出来ないとなると、長射程弾道ミサイルの弾頭を大気圏に再突入させて相手の目標に正確に投射するという弾頭制御技術も難しいであろう。
飛ばすほうは各段の切り離しもほぼ順調で、ペイロードを地球周回軌道に打ち上げているので前回2012年12月に続いて成功であるから、「翔ばす技術は確立された」というところだろうか。
韓国に回収された1段目と2段目の接合部と1段目エンジン?部品。
接合部に6基設置されているアクセレーション・ロケットモーターのうちの4基が見える。いずれも作動痕跡があるようで正常に作動したのであろう。1段目切り離し時に1段目中央部の4基の逆推力ブレーキ・モーターと併せ作動してスムースな切り離しシークェンスを可能としている。
2012年12月の「銀河3号」の韓国国防省解析レポートより。(注)
北朝鮮の「国家宇宙開発局」の英語名略号は「NADA」のようである。
米帝国主義者の敵性語は使わないのかと思ったがそうでもないようだ。
「NIDA」や「MIDA」ではなく、「NADA」。
それにしても、金正日時代には核兵器開発を取引材料として食糧やエネルギー支援をむしり取る「瀬戸際外交」の姿勢が見えていたものだが、3代目の若旦那は核実験や”宇宙開発”を取引材料に国連制裁解除や食料・エネルギー支援を勝ち取りたいのか?或いは核兵器装備そのものが目的にも見えて、意図がよく解らない。
北朝鮮のような小国が米本土を射程にするICBM戦略ロケット軍やSLBM潜水艦隊などの核戦力を開発、整備維持し、傍ら衛星打ち上げの宇宙開発も行っていくというのは、それが小規模のものであれ弱小な国家資源の大きな浪費であり、国力を超えていよう。
平壤を一歩出てしまえば道路は土であり橋も朽ちかけた木橋だったりのようで、社会インフラの整備は急務だろうし、人民軍の装備も半世紀前のものを使うのは限界だろうから、通常兵器の装備更新も急務であろう。
3代目若旦那の戦略方針はどうもバランスを欠いているような。
疑問を感じたりご注進に及んだりした人民軍高官もいたのだろうが、それらは処刑されたということか。
居並ぶ軍幹部の眼前での公開処刑で組織のタガを締める手腕だけは秀逸なようだ。それも高射機関砲を用いて粉砕するような冷酷残忍なやり方というのは血筋なのだろう。