三沢302飛行隊のF-35Aが夜間戦闘訓練中に墜落したとのニュース。

JASDFpress

 墜落機はこの編隊のフライトリーダーであり、総飛行時間3200時間の大ベテランであったという。

 三沢沖にはブラボー(B)と呼ばれる訓練空域があるので、当該フライトはここで2機づつのエレメントに分かれて夜間対戦闘機戦闘訓練の機動に入ったのだろうが、直後にリーダー機が「訓練中止」を発し忽然とレーダーから消えた(墜落)ようである。

Airarea

 訓練時には最低安全高度を設定し、万一事故・故障が生じた場合でもベイルアウトして機体は捨ててもかけがえのない乗員の命は捨てることがないよう安全方策を取って行っているといい、去る2月に生じた山口県沖でのF-2Bの墜落事故では乗員2名ともにベイルアウトして助かっている。(航空よもやま話・F-2B戦闘機の事故について思うこと

 F-35(全タイプ)にはUS16Eと称するマーチンベーカー製の最新型射出座席が採用されており、勿論ゼロ・ゼロ方式(高度0速度0でも可)であり、サバイバルキットに収納されているラジオビーコン等は着水時自動的に起動するようになっている。 残念乍ら今回事故機はエジェクトした様子は見受けられない様である。(Mk16 Ejection Seat for F-35/Martin Baker

 不具合状況を送信する余裕もエジェクトする時間も無いほどな急激な飛行重大支障がパイロット自身や機体に生じたものだろうが、その原因については墜落機体を回収して究明する以外ないであろう。

 事故現場の海底は1500mほどの深さと報道されていたが、4/24のCNN報道()では米海軍高官の話として機体位置は凡そ掴んでおり深さは当初思われていた1500mでなく450m程のところという。

 事故現場の海底地形は深さ1500m程で単純に広がっているのでなく、隆起して4~500mほどのところもなるほどあるようである。

Pacificbtm

 深度500m程度であれば潜水艦救難艦のDSRVやROVで直接確認することも可能であろうし、機体の引き上げ回収にも技術的問題は無いであろう。

 防衛省はサルベージ船は保有してないだろうから機体引き上げ回収作業は入札選定で民間のサルベージ会社になるのだろうが、最新鋭ステルス戦闘機F-35は機密の塊なのだといい作業船の甲板には怪しげな外国人作業者がウロウロでなければよいのだが。

 「勇猛果敢」(そして支離滅裂と続くという)と称される航空自衛隊であるから、事故に臆して訓練が委縮してしまうことは無いであろうが、事故原因を究明し同様事故は再び生じせしめない対策を確立して速やかに猛訓練を再起し、日の丸F-35戦闘飛行隊の錬成に前進する以外にないであろう。

 いまだ行方不明という事故機編隊長も、隊も家族もこの苦難・苦衷を乗り超えて力強く前進して行ってくれることを望んでいることであろうか。