かねてより建造中と推定されていた北朝鮮のSLBM搭載潜水艦の報道があり、一部であるがその様子が公表されている。

SSBNews
<朝鮮中央通信報道>




SSB

 排水量3,000t程度と思われるSSBに見え、セイル後方のモザイクがかけられた部位にSLBM発射筒を少なくとも3基から6基程度搭載するものに思われる。
 北朝鮮の「北極星」SLBM発射筒装置は深さ±12m程度も有れば収容可能だろうから、セイル後方のハウジング部はそれに十分な深さを持つように見える。
 SSBN(原子力弾道ミサイル潜水艦)のようなわけにはいかぬのだし、性能よりも「核弾道ミサイル搭載潜水艦」を建造・保有することに意義があるのだろうし、居住性などは無視して重武装艦とすることが出来るのも北朝鮮の特色でもあり、SLBMは艦容積の許す最大数を搭載するのだろう。(ちなみに北朝鮮が入手していたという旧ソ連G級SSBはセイルにSLBMを3基搭載であるが、G級Ⅳ型はSLBM4基搭載。G級Ⅲ型は6基搭載であった。)

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 船尾にシュラウドの付いたスクリューが見えるが、その位置からして少なくとも2軸、もしくは3軸艦と思われる。 北朝鮮潜水艦隊の主力であるR級(中国明級)はシュラウド付きスクリューの2軸艦。スクラップ品として北朝鮮が入手したという旧ソ連G級弾道ミサイル搭載潜水艦は3軸艦であった。

 どうも「使用済み」といった感じの外板の様子やいかにも古臭い排水口など、新造艦というよりはG級やR級などの既存艦をベースに改造したという印象をうける。

 他人事ながら安全なのか?と心配になるが、兎にも角にも北朝鮮が隠密性・生存性の高い(はずの)SSBを保有することの意義は大きいであろう。

 北朝鮮は着実に核保有国としての実体を推進していることになるが、南北朝鮮統一の可能性も現実化して来ており、近い将来南北統一が達成された暁には日本の隣に「核保有朝鮮国」が出現することになろうか。 そしてそれは日本に対して極めて威圧的・攻撃的な国家であろう。

 「核の脅威」というのは東西冷戦時代にも勿論あったわけだが、大国米ソ冷戦の力の均衡下での「米国の核の傘にある日本」という些か抽象的なものでなく、「いさかい事」を抱える隣国朝鮮や或いは中国といったところからの、「現実的な直接の威圧下での核の脅威」を日本は味わうことになるであろうか。

 飽く迄平和的な話し合いによる解決に徹し、相手の言い分も理解して歩み寄り、金目を貢いで全ての問題の鎮静化を図る日本が得意とする土下座外交に徹するのか、或いは国家の独立保持のため日本も将来は核武装に走ることになるのだろうか・・・(苦笑)